誕生日を病棟で迎えられ、その後しばらくして旅立たれた患者さん

ご家族が「本人の日記に書かれてありました」とコピーを持ってきていただきました

ご家族の了解をいただきここに記させていただきます

 

『ビッグニュース!

○○日14時30分

なんと先生やナース多数で来室

私の誕生日を祝ってくださる!!

花束と歌で祝福を受けて

大感激 こんなうれしいことに出会えるなんて

ほんとうにほんとうに有難く

最高の誕生日となりました

感激で字が書けない(涙で)

ありがとう皆さま 忘れません

この歳でこんな感動的誕生日を

迎えられる人があるでしょうか 』

……その翌日

『またまた誕生日を祝って頂いた

○○君一家に加えて、ナースからのメッセージ集のプレゼント!

お一人お一人に心のこもった言葉をおくって頂いて又涙です

この年になって涙腺が全開状態です

ああ幸せです

どうぞこれが現実でありますように』

 

私たちの病院に入院されてから、かねてより希望されていたことをご家族といっしょに一つひとつ実現していかれました

たくさんのご家族とも会われ、みんなといっぱいお話もされたようです

ある親戚の方の言葉「こんな病院もあるんだね」と感心され、とても恐縮です

 

看護師さんたちは受け持ちさんを中心に患者さんごとに誕生日のイベントを計画しています

このような言葉をいただきほんとにありがたいです

まずこの写真を!

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一気に暖かくなったお昼前のことです

車いすに乗った患者さんと介助している後姿・・・

 

「花見に行ってきます」

 

病棟では今週末に花見の計画があります

天気予報は……心配です

 

曇り空ですが気温は寒くありません

うしろからカメラを持ってついていきました

 

いかがでしょう?

娘のような、孫のような

でもれっきとした主治医の先生です

 

とてもほんわかしたショットがとれました

これ以上のコメントは不要でしょう

こんな素敵なことが毎日のようにまわりにあふれています

 

余談ですが、

私は桜の花は曇り空に映えると信じているひとりです

なのでこの季節、曇り空に薄いピンク色のセーターがとてもよく似合うのです

 

4月は新しい職員をたくさん迎える季節です

私たちのところにも今年多くの新入職員が来てくれました

4月1日の入職式につづき、昨夜は私としては2回目の顔合わせ

恒例の懇親会でした

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みんなすぐに仲良くなったようです

とても和気あいあいの懇親会となりました

 

今年あらたに緩和ケア病棟にも看護師さんが増えました

あいさつをさせていただき、ともに頑張りましょうとエール

また薬剤師さんは「緩和ケアに関心があります」と言っていただきました

 

いっしょに働く仲間が増えるということはとてもうれしいことです

入職式と懇親会では「同期に就職された仲間をずっと大切にしてください。困ったときや悩んだ時の強い味方になります」とあいさつをさせていただきました

 

ところで“なぜ日本では4月が新年度なの?”という疑問があります

以前に先輩から聞いたことがありました

それは、

明治時代にさかのぼります

当時の主な産業は「稲作」

政府の収入源は農家のお米でした

納税はお米ではなく現金だったので、秋にお米を収穫し、現金に換えて納税をします

その上で予算づくりをするとなると1月には間に合わず、結局4月とすればいちばん都合がいいということになったとのこと

 

ほんとにそうなのかネットで調べると同じようなことが書かれていました

 

また「財政法」というものがあり(初めてみました)、第11条に『国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする』とあります

法律で決められているんですね

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年々新入職員との年齢が離れていってしまうことは悲しいですが、初心に帰ることの大切さにも気づかされました

 

家族会開催にあたって開設時の病棟師長を務めてもらったN師長からのあいさつを、ご本人の了解を得てここに掲載します

師長さんのお話に涙されているご家族やスタッフがたくさんいました

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「私は緩和ケア病棟の立ち上げから師長として関らせていただきましたが、昨年の夏に師長室に異動となり、緩和ケア病棟を離れることになりました。

私事になりますが、ちょうど緩和ケア病棟の立ち上げ前に37歳のいとこを癌で亡くしました。小さなころから仲良しで、一緒に育ってきたので、その喪失感から立ち直ることもできず、すぐに涙が出て仕方がない時期がありました。

そんな時、緩和ケア病棟の師長としての異動を命じられました。

私に務まるのかすごく不安でした。

気持ちに整理がつかなくて、こんな私に緩和ケア病棟の患者さんの看護ができるのか? ご家族に寄りそうことができるのか? スタッフを引っ張ることができるのか? という想いだったのです。

そんな時、亡くなったいとこのお姉さんが私たち家族は不安でたまらない、そんな時思いを聴いてくれたり、一緒に頑張ろうと言ってくれたりする医療者の人が絶対に必要。そんな家族の力になれるように頑張ってほしい。きっと妹も天国で思ってるよと背中を押してくれました。

3月に亡くなったいとこを、3月が近づくにつれていつも以上に鮮明に思い出します。

私だけでなく、緩和ケア病棟で働くスタッフそれぞれにそのような経験があり、時には家族としての思いに立ったり、医療者としての思いに立ったりして働いているのだと思います。

 

開設時から入院された患者さん、そしてこうして今日来てくださったご家族の方にずいぶん私は救われたなあと思っています。

スタッフも同じ気持ちだと思います。

患者さんお一人おひとりとのエピソードが思い出されます。つらい症状の中でも笑顔を見せてくださったなー、一緒に美味しいものを食べたなーとか、ご家族の方が病棟に来てくださって私たちの心も癒されたなーとか。ほんとうにお一人おひとりのお顔が浮かんできます。

そしてご家族の方も大切な方が旅立たれてどれくらいの涙を流されたでしょう。

何もする気が起きずに呆然とされた日々が続いたことだと思います。

ここに足を運ぶこともつらかった方もいらっしゃるかもしれません。

 

亡くなられたご家族を振り返り、思い出を語り合う場を提供させていただいているのが家族会です。

私たちは家族会という場を持つことで、楽しかった思い出や、共に乗り越えた苦労話、ご家族の今のお気持ちを自由に語り合い、思いを分かち合える場所が提供できればと考えています。

今日はご家族同士や私たちと一緒に語り合いながら、ご家族自身の心境なども聴かせていただいて、少しでもほっとできる時間を過ごしていただけたらなあと思います。」

 

素敵なあいさつありがとうございました

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家族会の場で私も少しお話をさせていただくことができました

そのときのメモをもとに、いくらか膨らませて載せておきます

 

大切な人を見送った後の心の変化は誰にでもおこるものです

たとえば次のようなことがあります

 

(1)お別れのお葬式がすみ、人が離れていき、普通の生活に戻らざるをえなくなります

またそのことを社会からも求められることになります

そうするととたんに自分ひとりが「孤独感」の中に放り込まれたような気持になることがあります

そんなとき周囲のサポートがほしいのです

たとえば一緒に食事に行くとか、故人を偲ぶ食事会をする などを求めたくなります

また男性に特有のことかもしれませんが、日常の生活に簡単にはなじめない、たとえば「ゴミだし」や「公共料金の支払い」「部屋の掃除」など、どうしていいのかわからないことだらけです

 

(2)できることならもう一度だけでも会いたい、あなたのことを決して忘れたくない という想いが強くなります

写真を手帳や財布にいれてつねに持ち歩き、いつも一緒にいたいと思うのです

車を運転していてもつねに隣にいることを感じて、横に座っていると勘違いをして声をかけてはっと気づくのです

朝出かけるとき、「行ってきます」と声をかけ、夜仕事を終えて帰ってくると「ただいま」と…

ブログ第一集のP17に「亡くなったご主人が夢に現れる」というお話を描きました

 

(3)故人が大切にしていたもの、日常に使っていたものを簡単には整理できません

…洋服やネックレス、靴、歯ブラシ・・・

まだ大切な人の気配を感じていたい

もしかすると帰ってくるかもしれない

と信じています

ともに行ったことのあるレストランや美術館、映画館に行き、過去の思い出に浸ります

 

(4)多くの方々は後悔におそわれます

「これでよかったのだろうか」

「悪くなることがわかっていればああしてあげればよかった」

後悔することは決していけないことなのではなく、当たり前のことなのです

よく考えてみましょう

私たちはそのときには最善をつくしているはずなのです

 

(5)故人ができなかったこと、したかったことを代わりに行っている人がいました

仕事を引き継がれたご家族がいました

大切な人が私たちに残してくれたものに思いを馳せる時間が必要で、その中からきっと残された仕事ややり残されたことに気づかれることがあるでしょう

 

実はこれらのことは、私も体験してきました

誰にでも訪れることであり、決しておかしなことではないということを理解す

るまでに多くの時間がかかりました

 

しかし一方で、この体験は「自分だけのもの」でもあります

自分の言葉にすること、親しい人に静かに話を聞いてもらうことも大切なのです

 

家族会がその一つの機会になればいいなと考えています