病棟の看護師さんにレポートをお願いしてつぎの文章をいただきました

ありがとうございます

 

ずっとまえから丁寧に準備もされ、当日も緊張したことと思います

ほんとにご苦労様でした

看護師さんたちの苦労が実ってとてもいい集まりとなりました

 

『緩和ケア病棟では3月25日、「第一回 家族会」を開催しました。

病棟開設当初の2015年6月から2016年3月の10か月の間に入院されていた患者様のご遺族で13家族18名の方が参してくださいました。

「家族会」=「遺族会」はグリーフケアを目的としています。悲嘆(グリーフ)は死別やその他重大な喪失に際して起こる心身の自然な反応をいい、誰にも起こりえるものです。

悲嘆が充分に表出できないと、残された遺族は日常生活にさえ支障をきたしてしまうほどの危機的な状態となってしまいます。家族や友人といった大切な人と死別し、その喪失や辛さを体験し、後悔や心残り、自責の念を抱えた遺族が悲しみと現実を受け入れ、自分の人生を歩んでいくために少しでも力になりたいと考え、家族会を開催しました。

 

参加してくださったご遺族の中には、当時を思い出し、辛くてやっとの思いで病院までの道のりを歩かれた方もおられたと思います。看護師を見ると涙ぐまれるご遺族もいました。

 

家族会は現在の病棟師長であるO師長の司会のもと、病棟開設当初の師長であったN師長の挨拶で始まりました。次にご遺族に簡単な自己紹介をお願いしたところ、事前にお願いしていなかったにも関わらず、お一人お一人が入院中の故人の思い出やご自身の思いを時に涙ぐまれ話してくださいました。20分という枠では収まらないほどの貴重なお話でした。話を聴き、涙ぐんでいるスタッフもいました。

茶話会ではコーヒーや紅茶・お菓子を囲みながら医師や看護師と故人との思い出やご遺族の近況など、短い時間ではありましたが、たくさんのお話を聞かせていただきました。中には「亡くなった時に泣けなかった。どうしてかしら?私に怒っていると思う。もっとして欲しいことがあったと思う。」など自責の念を話される方もいました。そういった思いを溜め込まず、話してもらうことがグリーフケアの第一歩だと感じました。

ある医師が、「亡くなられた人の身体はなくなっても魂は生き続けることができる。誰かがその人のことを思い出すだけで、その人の魂は生き続けている」と言われていたことを思い出しました。

その後はボランティアさんによるフルート演奏があり、素晴らしい音色に癒されました。

最期にY医師・M医師の挨拶があり、終了となりました。

 

2時間のプログラムでご高齢のご遺族には疲労もあったと思います。

参加してくださったご遺族の皆様にスタッフ一同心より感謝いたします。

ご遺族からいただいた感謝のお言葉は私達の何よりの励みになりました。今後のケアに生かしていくように努めなければなりません。

ボランティアの皆さんにもたくさん協力をしてもらいました。初めての家族会で不手際もあったと思います。振り返りをして、次回の開催に繋げていきたいと思います。』

 

緩和ケア病棟 N看護師さんより

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昔からいろんな書物を読むことが好きで、手当たり次第に買ってきては読んでいました

直接緩和ケアに関係しないことから、専門書まで気になったものはどんどん目を通しています

そのときにちょっとしたことで気にかかることばというものに出会うことがあります

 

「予後1~2か月と予想されます」と言われて入院された女性患者さん

ご家族が一生懸命に介護されていました

毎日病院に来られ、朝早くから消灯時間まで付き添われていました

たまにご自分の病気で受診され、そのときには顔を見ないことがあり、「今日はどうされたのかな?」と気になってしまいます

残された時間、どのように過ごしていただこうかと考えました

気分のいいときには外出はどうだろうか?

どなたか会いたい人はいないのだろうか?

食欲がないときには、何かたべたいものは…?

などなど

でも患者さんはいつも「とくにありません」と答えられます

 

ご家族とも相談しました

「急な入院になったので家のことが気になっているようです」とのこと

それならとご自宅への外出を勧めましたが、「今はいいです」との返事

 

時々痛みが強くなり医療用麻薬を飲むことで改善します

今ならまだできることはあるのにねと、思いましたが、患者さんはやはり「とくにありません」と同じような返事です

 

だんだんと病状が進み、意識状態が混濁してきました

でも痛みのコントロールはまずまずで穏やかな表情をされています

最期はご家族に見守られながら静かに旅立たれました

 

お見送りの際にご家族は「本人は満足していました」と話されました

 

また在宅でのことです

高齢のお母さんを二人の娘さんが交代で介護されていました

せん妄状態が現れても娘さんたちはあわてる様子もなく

「お母さんそばにいるからね」

と優しく声をかけています

娘さんの声を聞くと患者さんは落ち着かれます

「優しい母親でした。私たちは今その恩返しをしています」と娘さん

いつも穏やかな態度で付き添われていました

 

「何かご希望は言われていませんか?」と尋ねても

「このままがいいようです」との返事が返ってきます

 

徐々に呼吸が弱くなり、日付が変わろうとするころに永眠されました

ふたりの娘さんたちはほっとした顔をされ、それでも満足されていました

 

私たちは終末期の患者さんに対して、「今のうちにできること、したいこと、やり残したことをしていただこう」と努力します

多くの患者さんは「○○さんに会いたい」「□□が食べたい」「一度自宅に帰りたい」などご希望を話され、その実現に向けてスタッフとご家族とで相談し、なんとかご希望が叶えられるようにと計画をします

 

でも上記の二人のように「何もありません」とおっしゃる方も少なからずいます

そのことは本心なんだろうか、私たちやご家族に気を使っているんじゃないだろうかなどと考えてしまうこともありました

 

そのようなときある本に次のようなことが書かれていました

『何かを一緒にする人は、他にもいる。ただ、一緒に何もしない、という人は、他に誰もいない』

アメリカの有名な先生の言葉だそうです

 

一人目の患者さんのご家族は毎日病院に来られても、お部屋の椅子に座られ、患者さんと一緒の時間を静かに過ごされていました

二人目の娘さんたちも時々話しかけたり、体を拭いたりされることで一日を過ごされていました

 

このような寄り添い方もあるんだなあと考えさせられました

 

最期の過ごし方は、人それぞれ、決して私たちが押し付けるものではないことに改めて気づかされています

けっして「何もしない」というわけではないのですが…

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土曜日の午後

緩和ケア病棟開設後2回目の花見です

朝からあいにくの曇り空

時々小雨がふります

しかしみなさん――花見に行く~!!

 

雨の合間をぬって車いすで出発です

患者さんを囲んで、スタッフとボランティアさん、そしてご家族

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今年も見事に咲いています

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――病院の近くにこんなにいいところがあるんだね~

みなさん笑顔です

 

普段は吐き気と倦怠感で表情が暗かった患者さん

桜の下では奥様と満面の笑顔になりました

翌日の回診のときにも花見のことに触れると、大きな笑顔で応えてくれました

 

ベッド上での生活となった女性

お孫さん数人を含むご家族がたくさん参加

「うちがいちばん多かったのとちがう?」と嬉しそう

 

毎日のように面会にきてくださる奥様

「患者の身体の状況が良くなるには、薬や治療だけでなく、人の優しさとか暖かさが必要だと感じました」

と話されていました

 

天気は曇りでも気温は寒くなく

ほんのりといい気持ちになれました

 

ちなみに

病院の裏には、院長のこだわりの桜並木(?)があります

日当たりもよく他の場所よりも早めに咲きました

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誕生日を病棟で迎えられ、その後しばらくして旅立たれた患者さん

ご家族が「本人の日記に書かれてありました」とコピーを持ってきていただきました

ご家族の了解をいただきここに記させていただきます

 

『ビッグニュース!

○○日14時30分

なんと先生やナース多数で来室

私の誕生日を祝ってくださる!!

花束と歌で祝福を受けて

大感激 こんなうれしいことに出会えるなんて

ほんとうにほんとうに有難く

最高の誕生日となりました

感激で字が書けない(涙で)

ありがとう皆さま 忘れません

この歳でこんな感動的誕生日を

迎えられる人があるでしょうか 』

……その翌日

『またまた誕生日を祝って頂いた

○○君一家に加えて、ナースからのメッセージ集のプレゼント!

お一人お一人に心のこもった言葉をおくって頂いて又涙です

この年になって涙腺が全開状態です

ああ幸せです

どうぞこれが現実でありますように』

 

私たちの病院に入院されてから、かねてより希望されていたことをご家族といっしょに一つひとつ実現していかれました

たくさんのご家族とも会われ、みんなといっぱいお話もされたようです

ある親戚の方の言葉「こんな病院もあるんだね」と感心され、とても恐縮です

 

看護師さんたちは受け持ちさんを中心に患者さんごとに誕生日のイベントを計画しています

このような言葉をいただきほんとにありがたいです

まずこの写真を!

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一気に暖かくなったお昼前のことです

車いすに乗った患者さんと介助している後姿・・・

 

「花見に行ってきます」

 

病棟では今週末に花見の計画があります

天気予報は……心配です

 

曇り空ですが気温は寒くありません

うしろからカメラを持ってついていきました

 

いかがでしょう?

娘のような、孫のような

でもれっきとした主治医の先生です

 

とてもほんわかしたショットがとれました

これ以上のコメントは不要でしょう

こんな素敵なことが毎日のようにまわりにあふれています

 

余談ですが、

私は桜の花は曇り空に映えると信じているひとりです

なのでこの季節、曇り空に薄いピンク色のセーターがとてもよく似合うのです