やっと見つけた路地を入っていきました

車がすれ違うのがやっとの広さに

ここでいいのかしらと不安になったそのとき

目の前に目的地が…

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玄関です

迎えていただいたのは

先日講演をお願いした徳永進先生

 

みんなの感想文を携えて訪問させていただきました

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鶴見俊介さん――あの有名な哲学者です――直筆の表札!

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玄関を入って見上げると

これまた著名な

詩人、谷川俊太郎さんの直筆の詩!

 

圧倒されました

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蔵書がたくさん

この場所でお話をうかがいました

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そこから見える中庭

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2階からだとこんな感じ…

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病室です

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ご家族がリラックスされるお部屋(?)

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デイルームですね

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ボランティアさん手作りの・・・   使い道は・・・

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壁にはいたるところに素敵な詩がありました

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屋上からは鳥取城跡が望めます

その横の丘へは

先生が気分転換によく行かれるそうです

 

講演のお礼とともに

野の花診療所の見学をさせていただき

あちこちカメラに収めました

 

お忙しい先生から

たくさんのお話が聞けました

 

有床診療所であることの課題

看護師さんの体制のこと

全国での講演をされるときの近隣の先生との連携

などなど

 

ほんわかとした姿からは想像できないくらいの

バイタリティあふれる患者さんや仕事への情熱

 

大きな刺激を与えていただきました

 

以下はおまけです

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鳥取砂丘と日本海

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気になっていた喫茶店 アイスウインナーコーヒーのすごかったこと

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ずっと行きたいと思っていた

青山剛昌ふるさと館と米花商店街

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倉吉の白壁土蔵……ノスタルジックな

 

神戸に帰ってきて

看護師さんたちに報告したところ

野の花診療所にはぜひ行ってみたいと言われました

(カニの季節がいいですね)

3周年記念集会の感想(とくに徳永進先生の講演)の一部ですが掲載します

170人ほどの方から寄せられました

☆出会った患者さんのエピソードを交えた、おもしろおかしいお話、ありがとうございました。ターミナルケアではふさぎがちな出来事も楽しいこともある(人生だからいろいろあるね)。あっけらかんとあけっぴろげな先生の人間性がすてきだと感じます(人間関係が築けているということですね)。貴重なお話、ありがとうございました。

 

☆徳永先生の話は、大変面白く聞かせていただきました。でも、全て現実のことで、いろんな死の迎え方があり、それを受け止めて迷いながらケアされてきたお話をたくさん聞かせていただき、とても感動しました。「緩和ケア」その時々のエピソードがありすぎて、びっくりしっぱなしでした。これからいろんな人生の最後に向かう生活にたずさわっていくと思いますが、先生の話のことを思い出して、前向きに細かなことに気づいていきたいと思いました。ありがとうございました。ハーモニカ、とても良かったです。

 

☆希望する人がすぐに入院できたらいいですね。皆様の熱意が伝わってきました。徳永先生のことは、3年前に日経新聞で見て、ぜひ一度お話をお聞きしたいと思っていたので、今日は本当にありがとうございました。各ケースをたくさんお話してくださったので、大変感動しました。緩和ケア病棟のスタッフの皆様、素晴らしいお仕事です。

 

☆家族にステージ4の乳がん患者がおり、1年以内にはお世話にならなければいけないかもしれないと思い、やってきました。ですが、西神戸で唯一、わずか19床しかないなど、入院させてもらうのは至難の技の狭き門だなと感じました。でも、差額ベッド代なしの個室で、ゆっくりと経済的な心配をせずに過ごさせたいし、春夏秋冬の行事やボランティアの人たちとのふれあいで、人間的な楽しい一時が最後に送れそうで、ぜひ入院させたいと思います。他の病院では、テレビを一日中眺めるしかなくて、医師、看護師さんたちは、治療行為だけで忙殺されているので、話し相手にはなりません。早急に緩和ケア病棟が増えることを望みます。

 

☆3年間の取り組みは素晴らしいと思います。一人一人がとても大切にされ、残された時間を少しでも喜びのあるものにしようとされるお気持ちがよくわかり、自分もこのように最後が迎えられたらいいなあと思いました。できたら、もっともっと病床を増やしてもらえたらと思います。とても辛い状況を、ユーモアを交えて笑いを誘いながら話される先生の背景に、幾多の困難を乗り越えられた先生の強さを感じました。看護に大切なことは、普通の言葉、普通の行為が大切とわかりました。

 

☆スライドを見て涙しました。徳永先生の話は、楽しく笑いながら、重要なことを学ばせていただきました。ハーモニカも良かったです。忘れられない浜辺の歌になりました。ありがとうございました。

 

☆新聞で講演会を知り、参加しました。徳永先生のお話、良かったです。

 

☆久しぶりに不思議な講演でした。おなかのそこから笑った。個人的に落ち込んでいたのが、「これだ」と思った。徳永先生、ありがとうございました。

 

■以下は医療者の感想(おそらく)です

☆先生の講演、すばらしかったです。看護師として、病院、在宅で様々な患者さんの最後を看取らせて頂きましたが、人それぞれでした。マニュアル等ありますが、決してその通りには行かない…同感です。常に患者様の言葉に耳を傾け、その場、その人にあわせて接する様にして来ました(心がけてきました)。“手・足・声・心”大切ですね。今後もそれを心がけて、アプローチできる看護師でありたいと思いました。講演中、亡くなられた患者さんとの思い出が思い出され、涙が出ました。ありがとうございました。

 

☆ユーモアたっぷりの徳永先生の講演は、聞いてて楽しかったです。「死」は病院で働いていると、どうしてもマイナスのイメージがつきやすいですが。誰にでも起こること。悲しむことよりもいつも通り過ごす事の大切さを改めて感じました。5年前、自宅で祖父を母や弟と見送りました。膀胱ガンが肝転移して末期でした。自宅で1ヶ月過ごして旅立ちました。あのときの家族としての想い、今医療従事者としての想い、毎日混じりながらかかわっています。

 

☆徳永先生の楽しい講演を聞いて、患者と向き合う姿勢等、あらためて学ぶことが多かったです。本当に明るい気持ちになって、患者ともっともっとたくさん会話をしたいと思いました。素敵なエピソードがいっぱいで、私も患者といっぱい素敵なエピソードがつくれるようになりたいです。

 

☆徳永先生、とても素敵なお話ありがとうございました。先生のお話には、あらためて考えさせられる所がたくさんありました。とても楽しく、時には感動しながら聞くことができました。私は緩和ケアに関わりだしてまだ半年程度です。しかし、この半年の間でたくさんの患者様、家族様に出会うこと、別れることがありました。そんな一つ一つの出会いを思い出しています。まだ始まったばかりで手探りですが、今日のこの貴重なお話を、今後の看護に活かしたいです。

 

☆徳永先生のお話の中で、印象深く残ったのは、決まる力、決める力があるという話しは、「なるほど」と、新たな学びでした。ありがとうございました。

 

☆日々のケアの内に埋もれてしまう、看護師としての大切な心を、楽しいお話を聞かせていただきながら思い出すことができました。ふとした時に、今日のお話を思い出して、なぜ看護師になろうと思ったのか、なぜ緩和ケアに関わろうと思ったのか、自分の原点を忘れず働いていきたいと思います。

 

☆臨床には、まだ出たことのない者ですが、教科書や学校では学べない、聞けないお話を聞くことができ、大変勉強になりました。ありがとうございました。(看護学生のようです)

 

☆笑いをたくさん織り交ぜて、わかりやすくお話していただき、いろんなことを考えるきっかけになりました。緩和ケアに関わっていると、多くの方の人生にかかわることになり、一人ひとりの人生の重みを感じることが多く、失う家族の痛みを目にすることもたびたびです。死を多く目にすると、生きていることが当たり前ではない、なんでもない毎日も大切にしないとと思うのですが、今日のお話を聞いていると、そんなに気張って考えなくてもいいのかなと思うようになりました。死は特別なものではなく、日常の延長線上だなって、構えて考えすぎなくていいのかなと、少し気が楽になりました。

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実行委員会には「10/8の記念集会」の準備と同時に、記念誌の発行という大きな役割がありました

 

みんなで原稿を書き

患者さんやご家族に写真掲載の許可を得るための手紙を出したり

何度も印刷業者と話し合ったり

急いで、慎重に進めてきました

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集会に参加された方々にお贈りいたしました

 

そのさいごに「まとめにかえて」と題してこれからの課題を私見として載せてもらっています

 

ここに再度掲載したいと思います

 

 

まとめにかえて

―――神戸協同病院緩和ケア病棟のこれからの課題

 

 3年間は長かったように感じています。

 しかし緩和ケア病棟としての経験は浅く、振り返るとこれでよかったんだろうかと反省することがたくさんあります。

 関係する職種・スタッフで何度も話し合い、研修や見学、学習会を通じてイメージを共有してきました。その作業は現在も続いています。

 記念誌をまとめることもその一環でありました。まとめにあたってのテーマを「苦労と感謝」としました。内外の多くの方々に支えられたことを感謝いたします。

 目の前の課題をなんとかこなしながら、同時にこれからのことを考えることも私の務めであると自覚し、以下に整理することでまとめとさせていただきます。

 

Ⅰ.私たちの力量アップ、職員の教育、研修の受け入れ

  ○学会や研究会への参加、他の緩和ケア病棟との交流などを通じて疼痛緩和をはじめとした力量の向上をはかること

  ○緩和ケアが未経験の医師や看護師の研修受け入れ、院内/法人内の短期研修受け入れやコンサルト力をつけること

  などが求められており、そのための努力を重ねます

 

Ⅱ.診療報酬改定への対応

  ○ホスピスの理念を大切にしつつ、現実の制度への対応をしていかなければいけないと考えています

   毎日の到達の把握ときめ細かな対策が求められています

  ○患者さんやご家族に迷惑をかけず目標を達成するために、多くの人の知恵を借りながらカンファレンスの充実を中心として対応をしていきます

 

Ⅲ.連携の強化

  ○院内、法人内連携/院外医療機関との連携

   スムーズな面談・入院が一層求められています

   そのためにこれまで面談の枠を増やしたり、臨時面談を行ったりしてきました

   また直接の緊急入院ができないため、一般病棟の協力も得ながら少しでも早い入院に心がけています

   今後さらに他の医療機関の取り組みを参考にしながら期待に応えられるよう努力します

  ○他科との連携(精神科、放射線科、麻酔科など)

   放射線科や麻酔科(ペインクリニック)、精神科は当院にないため、疼痛ケアや精神的な苦痛のケアに関して不十分さを感じることがあります

   専門科を持たれている医療機関との連携をさぐっていくことが課題です

 

Ⅳ.「地域包括ケア」の一環として

  ○神戸協同病院では在宅医療・訪問看護の歴史が古く、蓄積や教訓がたくさんありま   

 すが、外来や在宅での緩和ケアに関してはこれからの大きな課題となっています

  ○最近は緩和ケア病棟への依頼だけでなく、外来でのフォローや在宅医療への紹介が増えてきました 

そのため緩和外来、在宅ターミナルケアの短期・長期の展望づくりが求められます

  ○関連する医療者(とくに医師、看護師、薬剤師、介護職)の連携が重要です

  

Ⅴ.これからの緩和ケア病棟を展望して

 平成30年度日本緩和医療学会総会でWHOの緩和ケアの定訳が提起されました

 「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである」

私たちにとっては「QOLを向上させるアプローチ」が中心テーマになるでしょう

なかでも、

  *早期からの緩和ケア

*患者さんの尊厳(人権)を守ること

 *アドバンスケアプランニング(ACP)

  *トータルペインのケア

 を考えていきたいと思います

 

これからも引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

 

 

10月8日、3周年の記念集会を開催しました

台風が心配でしたが、なんとか通り過ぎたあとの快晴のお天気の休日となりました

―――それにしても今年は台風の直撃が多かったですね

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会場は駅の目の前です

 

副院長の素敵なあいさつのあと

私から3年間の報告をスライドを使ってさせていただきました

 

そのあと

参加者の皆さんが待ちに待った徳永進先生の講演です

“生もこんとん 死もこんとん”

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参加者はなんと324人!!

普段からお世話になっている医療機関の方々や看護学生さんも多数参加していただきました

 

徳永先生からは日常の出来事をおもしろく、明るく伝えていただき

笑いあり涙ありのお話にみなさん大感激していました

(参加された方々の感想は今後のブログに載せます)

 

私が感銘を受けたことの一部ですが

以下に記載します

 

☆オープンダイアローグという用語を教えていただきました

ネットで調べると「1980年代から西スコットランドの病院で行われている家族療法の一種」「参加者は患者さんにかかわ重要な人ならだれでもOK」「そこではあらゆる発言が許容され、傾聴され、応答される、開かれた対話」

などと述べられています

 

先生はカンファレンスを取り上げられ

「結論を出すためではない」

「その場で大事な意見を出し合う」

「何か事が起きれば60分以内に集まる」

などと話されました

 

 

☆また、ネガティブ・ケイパビリティという言葉も…

「私たちに必要なのは共感すること」

「その共感する過程で、容易に答えの出ない事態に耐えうる能力がネガティブ・ケイパビリティ」

 

 

☆さらには

「臨床には決めていく力と決まっていく力があります」

「臨床では思いがけないことがおこるのです」

 

 

短い時間で全てを理解することが難しいのですが

関連する書籍なども参考にしながら学んでいきたいと思いました

 

最近患者さんへの「病名の告知」に関して考えることが何度かありました

 

私たちの緩和ケア病棟の入院基準には「原則として病名の告知がされていること」という一文があります

絶対的なものではないのですが、入院されてから「わたしはなぜよくならないの?」「ここでは治療はしてもらえないの?」と話される患者さんがいたことから基準として付け加えることになりました

また「緩和ケア病棟の役割」についても面談時に説明を行っています

 

 

ご家族にこのお話をするとき、「告知されるとショックを受けるから」「病気を受け止めきれないから」「きょうだいが同じ病気で亡くなり、はっきりと告げると気持ちが落ち込んでしまうから」と積極的なお気持ちになられないことがあります

 

これまで専門病院で癌治療を続けてこられた患者さんの場合はそのようなことはほとんどないのですが、病気がみつかってもすでに手術や抗癌剤などの積極的な治療が望めないときに、ご家族たちは途端に悩まれることになります

 

私もそのお気持ちは十分にわかります

 

 

今から25年ほどまえのことでした

 

私は小さな内科中心の病院で働いていました

 

患者さんは様々な病気で入院してこられます

急性期治療を必要とされる患者さん

糖尿病のコントロールが必要となった患者さん

ときには診断が難しい患者さんがいました

免疫不全の患者さんでした

癌の患者さんもいます

 

高齢の女性でした

ご主人はすでに亡くなられ

ふたりの息子さんたちと同居していました

体調不良で入院され、検査で膵臓に癌が見つかりました

すでに進行しており治療は難しい状態でした

 

いつもならここでご家族にまず説明と相談をするのが当時のやり方です

 

しかし息子さんたちは精神疾患で治療を受けておられ

ありのままをお話してしっかりと受け止めていただけるか心配な状況でした

一方で、お母さんである患者さんは、息子さんたちのこれからのことを心配されています

 

病院では少し前から入院患者さんへの「カルテ開示」を行なっていました

看護師さんの日勤時間帯にベッドサイドにカルテを置かせていただき

患者さんやご家族が自由に見ていただくことができます

さらにご自分の意見や思いなどを書き足していただくことも可能でした

 

当時の医療状況から考えると先進的な取り組みではなかったかと思います

 

――この患者さんの場合どうしようか?

 

みんな考えました

 

――カルテ開示は何のためにしているの?

――自分たちの自己満足でおわったらダメだと思います

 

などの意見

 

時間をかけた話し合いの結果

カルテの開示は患者さんのため

病名の告知も患者さんのために必要

という結論になりました

 

 

主治医である私と受け持ちの看護師さんとで患者さんに話をすることになりました

 

患者さんはご自分の病気はすべて教えてほしいと言われていました

 

「○○さんにとってうれしくない話になるかと思いますがよろしいでしょうか」と切り出しました

 

患者さんは落ち着いて私や看護師さんの話を聞いてくださいました

しっかりと受け止めていただけたようです

 

そして

「息子たちはどうなるのでしょうか?」

と、ご自分のことよりも息子さんたちのことを気にかけられました

 

息子たちにも伝えてほしいと望まれ

後日息子さんたちにも病状をお伝えしました

私たちが予想していた以上に動揺されました

 

しかし患者さんから息子さんたちにご自分の考えを伝えられ、しだいに息子さんたちも冷静になられました

 

「病気になったものはしょうがないよ。私は大丈夫。心配なのはあなたたち。きょうだいで助け合って頑張ってね」

 

このご兄弟には結婚されたお姉さんがいたのです

その支えが大きかったように思います

――女性はたくましいと思ったものです

 

 

私たちは告知にいたるまで大いに悩みました

息子さんたちも悩まれました

でもいちばんつらかったのは患者さんです

 

 

病気の真実を伝えることも伝えられることもつらいことです

しかしどれほどつらい事実であったとしても

だれかが伝えることをしないと

患者さんはその後の生き方を決めることができません

 

もしこの女性にだれも何も話をすることがなければ

ご家族の間での本音の話し合いはできなかったでしょう

患者さんも息子さんたちも不信のなかで過ごさざるをえなかったかもしれません

 

 

ただ、

このお話のようにすべてがうまく行くとは限りません

ご家族の納得が得られないまま最期を迎えられた患者さん

ご自身が「怖い話はいや」と説明を拒まれた患者さん

みなさんそれぞれの人生の在り方は様々です

 

 

けれど面談のときにいつも言うことがあります

「私たちはけっして嘘を言ったりごまかしたりすることはありません。そして、いつでも患者さん、ご家族さんの支えになりたいと思っています」と

 

 

山崎章郎先生の著書にこのようなことが書かれていました

“告知は、患者さんが新たな道を歩む始まりに過ぎない”

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