先日のボランティア講座参加者の方から質問がありました。
緩和ケア一般の話のときに、認知症の方の終末期の栄養補給に関して胃ろうに少し触れました。
そのことに関連した質問です。
(質問)
「認知症の方で、胃ろうになった方の胃というのはどういう状態なのでしょうか? もし食べたくないものであれば、それを注入される内臓は悲鳴をあげないのでしょうか?」
という主旨です(表現を若干変更しています)。
(回答)
質問有難うございます。
まず、「胃ろうの適応」ですが簡単にいえば、
(1)脳卒中や神経の病気などで口から食事がとれなくなった時
(2)誤嚥(食事や水分が誤って気管や肺に入ってしまう)による肺炎を繰り返す時
(3)特別な胃や腸の病気により正常に食事がとれなくなった時
(4)その他
などがあります。
また認知症の方が胃ろうを考えるときというのは、いわゆる終末期を迎え、ムセなどにより食事がとれなくなった場合に検討が開始されます。
一般論ではこのような状態になると、まったく治療がされないと寿命は数日から1週間、点滴を行うと2~3か月、胃ろうなどでは約1年とも述べている医師もいます。
実際には私たちも大きく悩みます。
ご本人が元気な時に最期をどのように迎えたいと考えていたのか、家族の思いはどうなのか、最期をどこで迎えることになるのかなどなどたくさん考えないといけない要因があり、きわめて倫理的な配慮が必要な課題です。胃ろうの造設にともなう合併症やその後の管理も大変です。
これといって決まった結論はありません。
ご本人も含め、とりまく人たちが何度も話しあって結論を出すことが多いです。
さてご質問への回答ですが、
胃ろうを作られても胃の状態は変わりません。食べ物が口から食道をとおり胃に送り込まれる道筋をバイパスするだけです。
当然細いチューブを通して胃に栄養が補給されるため、固形物は通過できません。特殊な栄養剤を使います(薬剤として処方箋で出すことができるものと、食事扱いで実費で購入してもらわないといけないものがありますが)。
「食べたくないものを無理に注入される」と当然胃は受け付けてくれません。そのときは吐き出されることがあり危険です。なので1回の注入量はご本人の状態に応じて決定され、また1日の注入回数も3回であったり2回であったりします。1日の総カロリー量も考えないといけません。個人によってその方法は様々であり、落ち着いた方法に慣れるまで日数がかかることも多いようです。
以上簡単ですがお答えいたしました。
―― 私の勉強不足で不正確な所があるかもしれませんが、ご容赦ください。
“uproad”