院内の学習会でのことです
コロナ病棟で奮闘している看護師さんたちの報告を聴きました
『コロナ病棟において私達がこだわっていること』というお題です
さいしょに次のようなアピールがありました
コロナ病棟を開設以降、私たちは、『生命を守る』『生活を守る』『尊厳を守る』ことを基盤に質の高いケア(ケアの充実)の提供をめざしています
そしてそのこだわりを以下の4つにまとめて報告しました
- 離床へのこだわり
- DNRから要CPRとなった患者・家族への関わり
- 家族ケア・リモート面会について
- 終末期ケア・鎮静について
病院にとっても、医師・看護師にとってもまったく初めての経験であり、当初から手探りでの取り組みでありました
その経験をこれからにつなげることができたとの報告
私にとってどれもが新鮮であり、教訓に富むものでした
緩和ケア領域にも共通し、生かせることがたくさんありました
その中からいくつかを紹介します
内容はまとめを参考にしながら私の視点での記載です
文責はすべて道上にあります
☆コロナ病棟では医師や看護師をはじめ多くの職種が関わっています
とくに入院の早期からリハビリセラピストが積極的に介入し、チームとして廃用予防や無気肺の予防、生活リズムの調整などを行ってきました
昼夜逆転となっていた患者さんは、日中のリハビリにより夜間の眠剤が減り、入院前のADLに改善、元の生活に復帰されました
看護師さんから聞きました
最初のころは「コロナ」に意識が向きがちで患者さんが見れていなかったと言われました
たとえばシャワーのこと
「感染力が高いから無理」と判断していました
しかしある時から、「感染力が高いから、どうすればケアが可能となるのか」と発想を変えたそうです
ここからみんなの意識が変わりました
多くの発想が生まれてきたとのこと
緩和ケアであってもコロナ病棟であっても病名は関係ない
患者さんやご家族に行うことはどこにいても一緒
と話されています
☆ご家族との関係づくりは大変だったようです
・急な発症から突然の入院
・病状の急激な悪化
・面会ができないという哀しみ
に患者さんやご家族は直面します
今後の方針に関しての重要な決断をせまられることがたくさんあったでしょう
ご家族への頻繁な連絡や話し合いを繰り返す姿を目にしました
いわゆるキーパーソンだけでなく、ご家族みなさんの気持ちを受け入れることへのこだわりに努力していました
治療が適切に行われているところには
必ず良好なコミュニケーションがあるのです
☆今では全国どの医療機関でも普通になっている
「リモート面会」にもいち早く取り組みました
患者さんもご家族も不安の軽減につながったようです
入院中に旅立たれる患者さんもおられます
いよいよのとき、ご家族からお別れのことばをかけていただくことができました
リモート面会は看護師が患者さんのそばにつきっきりとなるため、一般の病棟とは異なり感染のリスクを減らすための時間制限はやむをえません
面会の時期の判断が大切と総括されています
☆終末期の鎮静についてはみなさん悩まれたようです
――報告から私の言葉に変えて抜粋します
※面会不可のため、ご家族は患者さんの様子を理解しにくい
そのため医師からこまめに病状説明を行い、看護師からも電話で状態を伝え、患者さんの置かれている状況をイメージしていただく
※病状の重い患者さんは呼吸困難や倦怠感、不安感など苦痛がつよい
入院時より悪化時や苦痛時の対応をご家族と相談、医療者―家族間で話し合う時間を確保する
※鎮静に対しての怖さや不安がつよい人がたくさんいます
効果とともにリスクを詳しく説明し、不安に寄り添い話を丁寧にお聴きし、納得して治療が受けられるように十分な話し合いの努力を行う
急な病状の変化(悪化)の中での判断が求められる現場だと思います
緩和ケア病棟での鎮静のカンファレンスにもとづく判断とはやや異なる状況に見えます
共通することは多いのですが、貴重な経験をもとに「コロナ病棟での鎮静の方針」の提案を期待しました
☆さいごのまとめとして
・早期からのリハビリの介入
・患者さんやご家族への医療者からのこまめな説明、患者さん・ご家族の心情の理解とサポート
・保健所との緊密な連携(重症化されたときのすばやい移送など)
・リモート面会などITの活用
・短時間で変化する病状に対して、医療者間でのタイムリーな意思統一
・QOL向上への努力
などが強調されていました
まだまだ取り組みは続きます
病院全体として協力しながら、教訓を他の現場に生かしていくことが課題です
今回の報告から次につなげる勇気をもらいました
ほんとにご苦労様でした