神戸協同病院の職員が、兵庫民医連の2年目研修に参加しました。

研修は、阪神大震災と民医連の災害支援活動について学ぶこと、民医連の理念や人との絆について考えること、入職して1年が経つ中で悩みを相談できる横のつながりをつくることを目的に行われました。その事後課題で「はるかのひまわり」を育て、取り組みのレポートと、育てたひまわりの種を提出することになりました。

「はるかのひまわり」は、阪神大震災で亡くなられたはるかちゃんの家で咲いたひまわりを配布し、その過程で由来を伝え、災害の悲惨さと共に命の尊さを再考する機会とする事で、「人の尊厳」と「人との関わりの大切さ」を知る感性豊かな地域社会を醸成する事を目的としています(「はるかのひまわり絆プロジェクト」紹介ページより抜粋)

園芸が得意な他職種の力をお借りしたり、時には患者様にも水やりをしていただいたりしながら育てた結果、現在はベランダに立派なひまわりが咲いています。通りすがる職員や、リハビリでベランダにこられた患者様からも好評です。とりくんだ職員も、育てる過程の中で「人と人とのかかわり」や「いのちの大切さ」を感じられたのではないかと思います。

——この文章は病院ニュースに載ったものに事務次長さんにお願いをして加筆していただきました

私は、昨年の4月から緩和ケア病棟のリハビリを担当しています。

たくさんの患者様との関わりの中でとても印象に残っていることがありました。

ある患者様は、病状悪くほとんど寝たきりの状態のため、疼痛緩和と拘縮予防のリハビリ依頼を受けました。当初は人見知りな性格もあり、ご自分の思いはほとんど話してくれませんでした。どうにか思いを引き出したいと思い、私は毎日様子を見に行き話をしました。また面会に来ていたご家族様ともお話するよう心懸けていました。その中で、折り紙や切り絵などを昔していたと聞き、一緒に作業する機会を作りました。

そこから、話をしてくれるようになり、笑顔もみられるようになりました。また、「今日はリハビリないの?」「あの子いつ来るんかな?」など作業活動をきっかけに日々のリハビリを楽しみにしてくださるようになり、意欲的にリハビリに取り組まれていました。

リハビリをする中で、退院したい思いが強いことを知りましたが、さまざまな理由で困難な状態でした。せめて生まれ育った長田の町を少しでも散歩できたらと思い、車椅子散歩を提案しました。何度もチームで検討し、ご家族の協力もあって、近くの商店街をリクライニング車椅子で散歩することができました。本人も喜んでくださりましたが、ご家族様も最期まで本人の思いに寄り添っていたことをとても喜んでくださりました。

ADLは低下してもQOLが上がる場面を見て、ただリハビリをするだけでなく、人生の最後までその人らしく過ごせるにはどんなサポートができるのか考えていくことが大切だと感じました。

私は、これまでの理学療法士の枠を超えて、患者様にアプローチすることや、患者様やご家族様の気持ちに寄り添うことが、緩和ケア病棟でのリハビリにとって大切なことだと思いました。これからもこの経験を忘れず理学療法士を続けていきたいと思います。

患者さんといっしょに花壇の水やり

温かく見守りながら歩く練習

今回の文章は現在緩和ケア病棟を担当してもらっている理学療法士さんに、心に残った出来事を教えてほしいとお願いして書いてもらいました

文章は原文のままでそのまま載せています

彼は患者さん、ご家族、看護師さんたちとのコミュニケーションをしっかりととっており頼りになる存在です

私の無理な注文にも嫌がらずに応えてくれています

これからも頑張ってください!

私たちの病棟では以前ボランティアさんたちの力を借りてベランダでたくさんの花を植えていました

これは2016年6月のブログに載せた写真です

ひまわりにみんな元気づけられたものです

コロナ禍でこのような取り組みがまったくできなくなり

ベランダは寂しい状態でした

病棟でリハビリを担当している理学療法士さんが患者さんたちの声を聞きました

「お花を見ながら四季を感じたいなあ」

「ただただ自然に触れたいです」

「植物をきっかけにいろんな話がしたいよ」

などなど

理学療法士さんは思いました

――お花などをきっかけにしてQOLの向上がはかれるんじゃないのかしら

そこで

お花を中心にしたリクレーションを考えてくれました

例えば

一輪挿しの容器づくりはどうだろうか

押し花もいいなあ

病棟のカンファレンスに提案され

さっそく庭の散歩と園芸作業を再開しましょうということになったのです

さっそくお花を植えました

これからたくさんの花が咲き

みんなの笑顔がいっぱいになることを期待しています

あらためてこの取り組みの目的を確認しました

――風や光、色彩や香りを感じることができる心和む風景を提供したい

当面はリハビリスタッフが中心となりますが                                                  

今後は中断していたボランティアさんの再開も検討されており

前のような華やかさを実現させていきたいと思っています

先日上記の集会が開かれ、約200人が参加しました

私たちも所属する医療福祉生協連の「いのちの章典」ではつぎの5つの権利と責任が述べられています

                                            

<自己決定に関する権利>

私たちは、知る権利、学習権をもとに自己決定を行います。

<自己情報コントロールに関する権利>

私たちは、個人情報が保護されると同時に、本人の同意のもとに適切に利用することができるようにします。

<安全・安心な医療・介護に関する権利>

私たちは、安全・安心を最優先にし、そのための配慮やしくみづくりを行います。

<アクセスに関する権利>

私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように社会保障制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います。

<参加と協同>

私たちは、主体的にいのちとくらしを守り健康をはぐくむ活動に参加し、協同を強めてこれらの権利を発展させます。

                                               

今回組合員と職員の日頃の実践の報告と交流を目的に開催されました

                                            

最初に寸劇でいのちの章典を分かりやすく説明してもらいました

                                          

                                                                                      

全体会では、順天堂大学教授の武田裕子先生から「いのちを守り健康をはぐくむSDH(健康の社会的決定要因)の視点」と題して講演をいただきました

具体的でわかりやすかったと多くの参加者から感想が出され、「今日の話をまわりに知らせていきたい」「もっと勉強したい」と今後の自己学習につなげるような意見がありました

                                           

                                          

私が今勉強している総合診療に通ずるものがあります

当然緩和ケア病棟での仕事にも・・・

                                           

                                            

午後からは8つの分散会にわかれ、実践の報告と交流が行われました

地域や職場での日常の活動が生き生きと報告され

地域の組合員と職員が熱心に討論しました

                                          

                                            

終了後の実行委員会では成果や教訓、課題が話され、つぎ(2年後?)はさらに章典の内容に切り込んだ発表ができればと期待を持ちました

                                            

                                             

私は最初のあいさつで以下のようなことを話しました

                                             

いのちの章典の前文にはつぎのような「健康観」が書かれています

――私たちが大切にする健康観は「昨日よりも今日が、さらに明日がより一層意欲的に 生きられる。そうしたことを可能にするため、自分を変え、社会に働きかける。みんなが協力しあって楽しく明るく積極的に生きる」というものですーー

この解釈について私の若干の思いを話しました

(まだ未熟な内容ですのでここでは割愛をいたします)

                                               

                                             

またいのちの章典を私は以下のように受け止めたいと思っています

                                              

1)「こういうものだ」と固定的にとらえないこと

「こうじゃないだろうか」「このこともそうだろうか」「いやこれはそうじゃないのでは」など、たえず私たちの生活・仕事・活動の場で考えていくものとしませんか?

2)特に「自己決定に関する権利」はもっとも難しいことです

ともすれば「あなたのことだから自分で決めなさい」と突き放されるようなことはありませんか?

他の項目は社会に働きかけることが多いのですが、自己決定に関しては一人ひとりの人生観や努力が求められます

私たちの暮らす社会では「共同の意思決定」も大切ではないでしょうか?

3)実践にあたって、一つひとつの項目を大切にしながらも、すべてがバランスよく行われることが望ましいです

看護師さんたちは定期的に「看護研究事例発表会」を開いており、今回で51回目になります

                                    

日頃の取り組みや気になる患者さんのことなど紹介と討論を行っています

今回初期研修を終えた二人の看護師さんの発表が心に響くものでしたのでブログにアップしました

                                   

                                      

一人の看護師さんは病気の理解が困難な患者さんに粘り強く取り組んできました

病気の悪化予防に焦点をあてた丁寧な看護実践でした

まとめの中に「患者さんの生活背景や価値観の把握」「個別性の重視」「家族との関わり」など大切な総括がされていたと思います

                                     

もう一人の看護師さんは終末期の患者さんの外出したいという望みを叶えるために、その準備から悪化時の対応、当日には同行してのケアなどを行ってきました

患者さんはご家族と大切な時間を過ごされ、とてもおだやかな時だったそうです

ここでも「価値観や思いを大切に」「納得した意思決定支援」など重要なワードが述べられていました

                                         

この二人の実践は今後の看護師としての生き方に影響を与えてくれるものになるのではないでしょうか

将来迷ったり悩んだりしたときに思い出してほしいなとつよく思いました

他にも研修中に貴重な経験をしてきた若い看護師さんたちがきっといるでしょう

                                     

このときに考えたことがあります

開会時のあいさつにも一部取り入れました

  • 患者さんや利用者さん、ご家族の個別のニーズに対応しながら、どのような状況であっても丁寧な看護を提供しています                急性期、慢性期、リハビリ、終末期、外来、透析、在宅など看護が必要とさ れている場面で深く関わってきていることが特徴です
  • 患者さんたちの物語性を重視していますある文献に載っていたことを引用します                              「優秀な事例報告が、その個々の事実をこえて普遍的な意味を持つのは、               それが物語として提供されており、その受け手の内部にあらたな物語を呼び起こす動機を与えてくれる」                    医師の分野では疾患のことが中心になりがちですが、この物語性が感動をもたらすのでしょう
  • この発表会が将来の看護実践に対してのヒントになっています             過去の研究が今に、現在の発表が今後の取り組みに対しての刺激となっていると思います

                                                                           

私自身みずからの仕事を振り返るいい機会となりました

これからも取り組みの継続を期待しています