日常の様々なことを記していこうと始めたブログですが、勉強してちょっとずつ賢く(?)なってくると、書きたいことはたくさんあるのにこんな内容でいいのだろうかと躊躇してしまい、筆が進みません
先日このような悩みをある人に話をしたところ、「ふだんの病棟の出来事を載せればいいと思いますよ」と言っていただきました
もういちど最初の気持ちに帰って継続していこうと思っています
少しでも関心がある方
引き続きお付き合いをよろしくお願いいたします
先日医学部の学生と話す機会がありました
彼はまだ低学年ですが、しっかりとした意見をもっていることに感心しました
「電子カルテの画面ばかりを見て、患者の顔を最後まで見なかった医師がいると聞いた」
「検査の結果にとらわれて、診察がないがしろにされていることがあるという話も聞いた」
など問題意識はいっぱいです
私にとっても耳の痛い話でした
自分がその場面に遭遇したのか聞くと
「家族がそのような経験をして、おまえはそんな医者にはなるんじゃないよと言われた」のこと
そこから話がはずみました
私も一つ経験をしゃべりました
高血圧で定期的に通院中の患者さん
ある日腰が痛いと訴えられました
――年もとっているので腰椎の変形かな
整形外科は今日は診察があったかな
などと思いを巡らしながら胸、背中と聴診していきます
お腹も異常は見られません
念のためと思い腰を見せてもらったところ……
みごとな帯状疱疹でした!
全身をしっかりと診ないといけないね、と医学生と意見が合いました
彼は様々な方面に興味をもち、積極的に自ら出かけていくタイプのようです
この間は何人かの医学生たちとディスカッションをする集まりのリーダーをしていました
テーマは“スピリチュアルペイン”
緩和ケア病棟に入院されている患者さんとの面談も経験し、そこから多くのことを学んだようです
「とても難しいですね」
――医学生に簡単にわかるのならこちらの立場はないよ
と心で思いながらも
「そうだね」と相槌
将来の緩和ケアを担ってくれる人材になればいいなあ、と思いながら握手をして再会を誓いました
私たちの病院は日頃の医療活動を広く知っていただこうと、“ほっと通信”という広報誌を定期的に発行しています
発行にたずさわっているのは全員職員です
とても素人(…スミマセン)とは思えないほどの出来栄えで、毎回楽しみにしています
このたびは見開きのページに「緩和ケア病棟開設から1年半を振り返って」と題して、様々な行事の写真とそれぞれの職種からのコメントを載せてきれいに仕上げていただきました
担当されたみなさんありがとうございました
毎回思っていますが、今回のものは永久保存版にしたいほどです
その左下に私のあいさつを書かせてもらっています
あらためてここに再掲させてもらいました
緩和ケア病棟がスタートして1年半になります。
この間多くの病院と診療所の先生方からご紹介をいただき有難うございました。また困ったときに先輩たちからのアドバイスに励まされました。
同時にボランティアをはじめ医療生協組合員の皆様方の支援もいただきました。
なによりも患者様・ご家族様と過ごした一日一日が、私たちにとってとても大切なものになっています。
2016年春には念願の医師二人体制となりゆとりも生まれ、日常をリアルタイムに知らせようとはじめたホームページ上のブログを冊子にして第二集まで発行しました。
「このような病院がもっとあればいいのにね」と話してくださったご家族様、「知り合いが入院してそのご家族から勧められました」と面談時に言われた患者様、「ブログを見て決めました」と来られた方、このような人たちの期待に応えていかなければと気持ちを引き締めている毎日です。
駅から歩いてこれること、差額ベッドがないこと、チーム医療にこだわっていることが私たちのささやかな自慢です。
これからも一層のご支援よろしくお願いいたします。
“ほっと通信”は病院の待合室に置いています
またお世話になっている病院や先生方にもお送りしています
患者さんや職員から好評なご意見をいただいています(自画自賛でしょうか?)
バックナンバーは病院のホームページにも載せています
関心のある方はぜひご覧ください
ともに参加したスタッフからの報告です
12月8日(木)、西市民病院の主催で開催された院内外多職種交流会に参加させていただきました。
今回の交流会のテーマは「急性期治療を終えたがん患者の療養生活を病院・地域でどう支援するか」ということで、2名の先生からのご講演と、多職種によるグループディスカッションで、非常に活発な意見交換がされました。
西市民病院の院内から多職種の方が参加されていた他、地域の開業医の先生方、訪問看護の看護師さん方、ケアマネージャーの方など、多くのご参加があり、関心の高さがうかがえました。
永年緩和ケアに関わってこられたA先生のご講演では、終末期のQOLを支えるための緩和ケアの中心的課題は、患者・家族の希望をとにかく丁寧に聞き、その価値観を大切にすることであるとのお話が印象に残りました。「最期の時は家で過ごしたい」「自分でトイレに行けなくなったら入院したい」「とにかく痛みをなんとかしてほしい」など、その時々の患者さん・家族さんの希望に柔軟に対応するためには、在宅医と急性期病院、緩和ケア病棟の連携が必要になってきます。それぞれに得意・不得意分野があるので、連携して重なり合うことによって、患者さんを切れ目なく柔軟に支えることができるとのお話には、なるほどと考えさせられました。いざ連携となったときに、お互い顔と名前のわかる相手であれば、安心してお願いすることができるし、自分も責任を持った対応をする。だから、普段から積極的に「顔の見える関係」を作っておくことが大切、という点も印象に残りました。これまでも地域連携の場では「顔の見える関係」という言葉をよく耳にしていましたが、なぜそれが必要なのか、自分なりの理解が深まったと思います。
在宅医としてご活躍されているM先生のお話では、具体的な事例を交えながら、在宅での終末期医療の現状やノウハウ、課題などについてお話していただきました。実は会の前に先生にごあいさつをさせていただいた時に、「協同病院さんは希望される方は多いのですが、なかなか敷居が高くて・・・」という叱咤激励(?)をいただきました。しかし、ぎりぎりまで在宅で過ごしたいという患者さんを在宅医として支える先生のお話をお聞きし、日々悪化する病状に対面し、不安を抱えながら過ごしておられる患者さん・家族さんが、「かかりたい」と思うときにすぐにかかれる病院であることが、私たちに求められている役割なのだと改めて考えさせられました。
続いて行われたグループディスカッションでは、実際の事例をもとに、それぞれの立場からどんな支援ができるかを話し合いました。それぞれの視点から非常に活発な意見が出され、これまでの自分にはなかった新たな発見があり、事例を元に振り返りをすることの大切さを改めて感じました。在宅医の先生方や訪問看護の方、ケアマネージャーさんのお話をお伺いしていると、みなさんとてもパワフルで、患者・家族の「家にいたい」という望みがあれば、困難でもとことんまで支えるという心強さを感じました。
今回の交流会は、これまで自分たちが行ってきたことへの確信を得る場面もあり、また課題に気づかされた部分もあり、非常に多くのことを学ばせていただきました。地域からの要望に応えられるような病院であるように、この学びを持ち帰って、院内へ発信していきたいと感じました。
私もたくさん感銘を受けました
A先生の講演から
「患者さんの希望」は
・できれば病気を治したい、それが無理でもできるだけの治療を受けて生きていたい
・自分のことは自分ででき、人に負担をかけず、人の役に立つ存在でありたい
・穏やかに過ごし苦痛なく最期を迎えたい
とありました
入院相談の面談の場や、入院されている患者さん・ご家族から同様の思いをお聞きすることがあります
医療者側が忘れがちな、でもとても大切なことです
これまでも気づいたことをこのブログの場で述べさせてもらってきました
引き続き多くの出来事や感じたことなどを書いていきたいと思います
私たちの緩和ケア病棟が開設1年半を迎えました
以前に1年間のまとめの会議を行ない、その結果の一部をこのブログでも紹介させてもらいました
その後半年が経過、新たな変化も見られています
この機会に退院患者さんの状況を診療情報部の力をかりてまとめてみました
(1)退院患者総数
☆2015年6月~2016年5月まで 73名:男性51名、女性22名
☆2016年6月~2016年11月まで 50名:男性27名、女性23名
(2)年齢、男女による区分
☆最初の1年間
☆その後の半年間
男女の違いがはっきりとしてきました
(3)主病名
☆最初の1年間
☆その後の半年間
肺癌、膵癌が目立ちます
(4)入院期間
☆最初の1年間
・平均在院日数:37日
☆その後の半年間
・平均在院日数:41日
(5)(持続)鎮静の施行率
☆最初の1年間
19名/73名(26%):うち2名は途中で中止
☆その後の半年間
3名/50名(6%)
評価や課題の検討はこれからですが、最初の1年とその後の半年の間で、医療や看護の内容に変化が見られています
私たちも気づかないうちに成長してきているのだと思います