今日から3月です

春は出会いと別れの交錯する季節です

私たちの病院で3年間リハビリテーションスタッフとして頑張っていただいた理学療法士さんが新しい世界に旅立たれます

彼女たちは緩和ケア病棟の担当もかねてたくさんの患者さんのために働いていただきました

 

私にとってもとても印象に残る仕事をしてもらったと思っています

 

このたび無理をお願いして感想を描いていただきました

ここに掲載させていただきました

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『緩和ケア開設当初からリハビリとして関わらせていただき、たくさんの患者様を担当させていただきました。

一人一人要望も様々で、毎回新しい気持ちで介入していきました。

そして、その度にどのように接していけばいいか、またどのようなリハビリで関わっていけばいいか毎回悩むことが多かったです。

 

状態が悪化してからも、顔だけはのぞきにいくようにし出来るだけ関わる機会をつくりました。

顔をみたり話をするだけでも気分転換になるとおっしゃってくれる患者様もおられ、

理学療法士として患者様に寄り添いながら関わっていくという点に関して、緩和ケアを通して成長できたと思っています。

担当患者さんが亡くなる時や痛みや倦怠感が強い人に対してのリハビリは私自身も辛い気持ちになる時はありましたが、それでもマッサージで少しでも楽になったと言っていただけると、自分が関わらせて頂く意味が少しでもあったのかなと、プラスに考えるようにしていました。

 

少しでもその人らしい最後が迎えられるように

スタッフみんなで悩みながら協力して関わっていき、私はそんな緩和病棟スタッフの方々が大好きでした。

 

今回、沢山の患者様に関わらせていただき、経験年数の浅い私が緩和ケア病棟に携わる事に負い目がありましたが、私にとってとてもいい経験となったと思います。』

 

理学療法士 Tさんより

 

彼女には、担当された患者さんから私たちがうかがうことのできなかったお話を聴いてもらったりすることがありました

話しやすい雰囲気をもっているのでしょうね

何事にも全力で取り組んでくれました

 

これからも新しい分野で元気に頑張ってくれることを期待します

 

 

―――次回も感想文を掲載します

仕事の帰り、何気なく立ち寄りました

いつものように鉄人28号が「夜のまちに・・・」

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でもいつもと違います

その前にきれいな花が、

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実はこの花は「神戸開港150年目に合わせ、記念のロゴマークを描いた花絵」(神戸新聞より)だそうです

地元の中学生たちが約4200株のジュリアンで彩ってくれました

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ジュリアンってこんなきれいな花なんですね

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ちなみに花言葉は“青春の喜びと悲しみ”だそうです

寒さの厳しい冬に美しい花を咲かせ、夏を目の前に枯れてしまうことからつけられました

長い時間病院にいると気づかないことなのですが、こんなに素敵な場所が私たちのまちにはたくさんあるのです

 

 

ピザをひとりで食べるときはなぜかさみしくなりませんか?

家族や仲のいい友人たちとにぎやかに食べるときの方が幸せを感じるのは私だけでしょうか

 

日本のピザについては色んな説があるようですが、こんな話もあります

第二次世界大戦時、イタリア海軍の船が神戸港に着きました

乗組員のひとりが神戸で2か月間だけ開いたレストランで初めてピザが焼かれたという説があるそうです

 

ここでも私たちのまち、神戸がでてきました

 

Aさんはふだんとっても物静かな患者さんです

自分から症状を訴えられることも多くありません

看護師さんから薬を飲むことを勧められても、自らが納得してからでないと飲んでいただけません

しかし少しずつ病状は進んできます

「試しに使ってみませんか」とお勧めし、それほど言われるならと同意され、症状がよくなったことを体感されてやっと薬の追加を受け入れられるという状況です

 

そんなAさん

誕生日をみんなでお祝いしようと看護師さんたちが計画しました

「何か食べてみたいものはありませんか?」

少し考えて

「ピザを食べたい」

と返事

 

当日の模様です

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この日に勤務していた看護師さん全員と栄養士さん、そしてご家族、みんなで誕生日の歌を歌いました

いよいよお待ちかねのピザです

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この日のために栄養士さんが手作りで準備してくれました!

そして病棟のスタッフからの寄せ書き

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Aさん、満面の笑顔でした

 

あとで「どうしてピザなんですか?」とお聞きしました

「ほとんど食べたことがなくて、食べたいなと思ったから」との返事

 

よかったですね

 

ちなみに「ピザの日」というのがあるそうです

11月20日が「ピッツア・マルゲリータ」の名前の由来となったイタリア王妃マルゲリータの誕生日だからと聞いています

 

Aさんにとっては、この日が「ピザの日」ですね

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大学入学後すぐに学生寮に入りました

そこでは2学年上の先輩と同室でした

彼は学部こそちがえ、とてもいい人で尊敬できる先輩でした

 

おおくの影響を受けたものです

たとえば…

先輩は『ドストエフスキー』が大好きで、私も貯金をして全集を買いました

夏休みには冷房もつけずに読みふけったものです

 

彼は音楽の趣味があり、とくにビートルズの大ファンでした

毎晩のように歌を聴かされ

いつしか私もファンのようになってしまいました

 

彼は「メロディーもいいけど、歌詞が大好きなんだ」と言いながら、得意の英語力を生かして日本語訳をしてくれました

 

なかでも「Yesterday」を毎日歌っていました

そのとき「これは別れた恋人を想う歌だって言われてるけど、ほんとはポール・マッカートニーが子供のころに癌で亡くなったお母さんへの想いを歌ったものなんだよ」と教えてくれました

 

最近ふとそのときのことを思い出しました

 

また私の母が私が勤める病院で最期を迎えたときにも自然とそのときの情景が浮かんできたことも思い出しています

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―その一部です

 

Why she had to go

I don’t know she wouldn’t say

I say something wrong

Now I long for yesterday

 

邦訳はネットで調べました

 

“なぜおかあさんは旅立たなければならなかったの

わからない 黙っているだけ

ぼくは悲しませることを言ってしまったの

今は焦れるだけ 昨日に戻れたらと”

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今、患者さんとご家族(あるいはご遺族)のつながりについて勉強をしているところです

 

 

緩和ケア病棟で働くときに避けて通れないテーマのひとつがセデーション(鎮静)です

 

当院での開設後のデータでは、

最初の1年間の「深い持続鎮静」の比率は26%でした

その後の半年間の比率は6%と減少していました

この結果をどう評価するかはまだ早いと考えています

 

患者さんが入院してこられて最初のお話(この場合はご家族も一緒のことが多いです)で、鎮静の説明もさせていただくことがよくあります

しかし「最悪の場合」とお断りをいれさせてもらっても、みなさん想像ができないのは当然です

病状の進展に合わせて何度かお話を繰り返させていただくことになります

 

いよいよ必要だろうと思われる時期を迎えたときに、ご本人の思い、ご家族の思いを十分にお聞きしながら、日本緩和医療学会の「鎮静のガイドライン」に沿ってスタッフ間でカンファレンスを行ないます

 

担当医として大いに悩むときです

「ほんとにこの判断でいいのだろうか?」

「死期を早めてしまうのではないだろうか?」

一方で

「患者さんの望みをかなえてあげることができれば…」

などなど

 

ある先生は『普通の亡くなり方に近づけるための治療です』と話されるそうです

(お断り:http://drpolan.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-c838.htmlより引用させていただきました  ありがとうございます)

 

またWHOの見解は

『鎮痛薬を適切な量で使ったことが死を早めることになったとしても、それは過量投与によって意図的に命を絶つことと同じにはならない。適切な痛みの治療法が死を早めることになったとしたら、尊厳のある、容認できる生活状況を維持するのに必要な治療手段にさえ耐えられないほど、患者の状態が悪化していたことを意味するだけである』(WHO1990)

 

 

簡単には結論にたどり着けないのがこの分野の難しさであり、またやりがいにもつながることなのでしょう

 

 

まだまだ大いに悩むことになるでしょう

(このテーマはきっと永遠のものだと思っています)

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追記:ブログもついに130回目を迎えました