家族会がありました

そのときにスライドが披露され共感を呼びました

 

看護師さんたちが「心に響いた」ことばを紹介してくれました

 

患者さんやご家族が口にされたひとこと

 

ご紹介します

看護師さんたちが描かれたことばをそのままに載せていますが、私の独断で編集いたしました

 

 

☆ご家族から患者さんへ

 

“入院してるのに

病院のご飯を食べずに

菓子パンやおやつばっかり食べて

でも次の日

来て減ってると安心する”

 

“あんなに文句言ってたのに

言えなくなっちゃった

いつもみたいに

「うるさい」って言ってくれたら

いいのに・・・”

 

“お母さん、僕、

お母さんの息子で幸せやったよ”

 

“「暖かくなれば桜を見に行こう」と私が言うと

姉はふんふんとうなづいている

心の中では

『妹は嘘ばっかり言っている』と

思っているかもしれない

それでいいと思う”

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☆患者さんからご家族へ

 

“あの子たちは本当に良い子たちばかりで

私の自慢なんですよ

皆それぞれに優しくしてくれて

大切にしてくれて

いつも感謝してるんです”

 

“優しい嫁さんやで

息子より頼りになる”

 

“気の利く娘やねん

息子も仕事で忙しいのにようしてくれる”

 

“やっぱり家族が居てくれたら

安心や”

 

“孫が来てくれるだけで嬉しい”

 

“私(母)が居なくても兄弟姉妹

仲良く過ごしてほしい”

 

“普段はぶっきらぼうに言い合いしている

母娘

でも毎日お母さんのすきな物を差し入れ

娘さんが帰った後、嬉しそうに

「美味しかった」と笑顔で話していた”

 

“娘の晴れ着姿、見て嬉しかった

母一人子一人、娘の綺麗な姿

目をつぶると見えるの

本当に綺麗

大人になったなーって・・・

私を母親にしてもらって

ありがとう”

 

“「最後にもう一度家に帰りたい」

と言ったら

娘が「帰ろう」と言ってくれた

無理なのはわかっている

でも、その言葉が本当に

嬉しかったんや”

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☆患者さんの想い

 

“家に帰りたい気もするけど

迷惑かけてしまうからな

毎日来てくれるからここで十分や”

 

“辛い顔なんてしない

心配させるし

最後まで

強い父親でありたいからな”

 

コメントは不要でしょう

ありのままの言葉を大切にしたいと思います

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70代の上品な女性です

 

「病気がわかったとき『もう遅いよ』って言われて、あっと息をのみました」

淡々と話されます

それでも考えられるかぎりの治療をがんばって受けてきました

 

私たちの病棟に入院してこられたときは

痛みや食事がとれないという症状でお困りでした

 

症状を和らげる治療を行い

ときどきやってくる痛みにも耐えながら

「食べたいものがあるの」

とご希望され

それを親族の方が準備され

望みがかなったときには

体中で喜びを表現されました

 

 

彼女は

ご家族の介護をし、見送られ

ご自分はお一人でひっそりと暮らしておいででした

 

でも、

「友人たちがたくさんいて、楽しく暮らしてきましたよ」

今でも多くのお友達がお見舞いに来られ

ご自宅に外出をしたいときには

付き添ってくれています

 

カラオケに行っては、順番ににぎやかに歌ったり

10人ほどで旅行に行かれたり

 

「私だけお酒を飲めないの」

「みんなは酔っぱらってどんちゃん騒ぎよ」

でもとっても楽しかった

と遠い眼をされた姿が印象的です

 

「事務の仕事をずっとしてきました」

「友達はそのときの人たちだったり、それ以外でも多くのお付き合いができました」

 

 

ご家族を見送られ

ご自分の病気が見つかってからは

「ご褒美でいただいた時間だと思っています。そのときを精一杯生きることができればそれでじゅうぶんです」

と話されます

 

財産のこと

お墓のこと

ぜんぶ段取りを済まされてきました

 

 

彼女は多彩な趣味をお持ちです

 

私がうらやましく思ったのは

 

色鉛筆で描かれた絵や水彩画…

 

だれかに教わったわけでもなく

それでもおじょうずです

 

鉛筆の黒色は鉛が入っているので色を塗ると光ってしまうけれど

色鉛筆の黒はそんなことがないってお聞きしたことがありますね

と私もうろ覚えながらお話に参加です

 

お気に入りの絵を病棟に飾らせていただきました

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道行く患者さん、ご家族、職員が

かならず立ち止まっています

 

 

もうひとつは

編み物

 

「わたしと同じことで悩まれている方に使っていただければうれしい」

毛糸で編まれた帽子を託されました

 

 

今、その帽子は

若い患者さんのもとに

届けられています

「わー、かわいい」

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私たちは緩和ケア、あるいは「終末期の」ケアにたずさわっています

どうしても「最期のとき」を意識してしまうのですが

彼女とお話をしていると

――いまをいっしょうけんめいに生きているんだ

それを私たちがどう支え、応援するのか――

という病棟の開設のときにいだいた志を

思い出させてもらったひとときでした

 

 

こんどはいっしょに桜を見に行きましょうね

と約束しました

 

訪問診療を行っている患者さんが先日101歳を迎えられました

 

何年間も入院されることがなく

いつうかがっても元気で過ごしています

 

「病院に入院しないことが秘訣なのかもしれないね」

と同行している看護師さんとは話していました

247-01

 

ところで

「高齢者っていったい何歳からなの?」

と疑問を持ちました

 

ちょうど届いた雑誌に

「高齢者の定義について」

という総説が載っています

 

日本老年学会、日本老年医学会がワーキンググループを立ち上げ

2017年に提言を発表しました

 

そこでは

「75歳以上を高齢者とし、65歳から74歳までを准高齢者とすることを提言した」

と書かれてありました

 

たしかに前期高齢者といわれる65歳を過ぎても

現役でがんばっている人はたくさんいます

 

もうひとつの疑問があります

「健康長寿と食生活の関連」

です

 

多くの方が、長寿につながる食生活について述べています

私もその内容のほとんど(“健康をうたった”怪しげな情報を抜きにして)を信じています

 

 

・バランスよく食べましょう

・腹七分目を守りましょう

・朝食は抜かないこと

・よく噛んで食べましょう

などなど

また

「あれはだめ、これもだめ」と禁止事項を並べるよりも

「これを食べましょう」という方法のほうが効果的

ということです

 

 

では先ほどの101歳の患者さん

聞いてみました

 

☆「ほんとに好き嫌いが多いんです」

「肉類はまったく食べず、野菜も嫌いです」

とご家族

好きなものばかりを食べられているようです

何が食べたいですか? と聞くと

「…うなぎ」との返事

 

この患者さんは心臓病などいくつかの病気をもたれていて

薬を何種類か飲んでいます

こんなことも言われました

 

☆「薬はお医者さんが儲けるために出しているから飲まなくてもいい」

・・・!?

 

だけどがんばって飲んでいただいております

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つくづく人さまざまだと感じたしだいです

けっして食生活の大切さを否定するつもりはありません

 

ある日の緩和ケア病棟でのこと

 

行事食として

節分の「巻きずし」が

お昼に出ました

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それまでお腹が苦しくてほとんど食事がとれなかった患者さん

おいしい、おいしいと

しっかりと味わわれていました

 

担当の看護師さんが感激して

栄養科まで行き

スタッフにお礼を告げられたそうです

 

 

おいしいもの

食べたいもの

がいちばん元気の源なんでしょうね

時々絵本のご紹介をしています

ブログを見ていただいた方から

「あの絵本を買いましたよ」

って言われることがあります

 

 

職業柄、どうしても患者さんのことに

結び付けてしまいます

 

 

今回はまったく異なる分野の絵本です

 

 

私の知人がこのたび結婚することになりました

 

そのときに贈った絵本です

246-01

 

“わたしはあなたのこんなところが好き。”

次々と大好きなところがでてきます

 

かってに引用しました

すみません

 

――わたしがいちばん好きなところは、

  わたしを好きでいてくれるところ。

 

――「好き」と「かわいい」は

  毎日でも言われたい。

 

「ふたりの暗黙のルール」

「ふたりが共有してるもの」

がたくさんでてきます

 

――だから、今日も手をつなごうよ。

 

 

ふつうに読んでいても

胸があたたかくなるお話で

いっぱいです

 

 

そして

もう一冊

246-02

“あかちゃんが選んだあかちゃんのための絵本”

 

20年間の研究の結果

赤ちゃんの視線を釘付けにするイラスト

だそうです

 

 

あわせてプレゼントしました

 

 

時間のあるとき

なんども開いています

 

 

 

緩和ケア病棟で働いていると

目の前にいる患者さんと話をしていて

「これまでどのような生き方をされてきた方なんだろう

彼あるいは彼女が大事にされているものってなんだろう」

と思うことがよくあります

 

また

ずっと病気と闘ってこられたり

すでに覚悟をもって入院されたり

ご自分のことよりもご家族のことに心をくばったり

……

様々なお話を聞く機会が増えました

 

 

一方では

「患者さんの立場にたって」

とか

「患者さんの想いを共有して」

ということが言われているので

そのことに力と時間を費やすことが

任務なんだと意識しています

 

 

実際には難しいことばかり

中には自らの人生を話される患者さんがいらっしゃることは

まちがいありません

でも

入院してこられて

短い関係の中で

そこまで踏み込んでもいいのだろうか

と躊躇することが多くあります

 

 

話をすることを

こころよく思われない患者さんがいたり

静かにそばで座っているだけで安心され

言葉数少ないけれど

なんとなく気持ちが通じたと思える瞬間

などなど

様々です

 

そんなとき

出逢った絵本がありました

245-01

 

中山千夏さんの描かれた絵本です

 

『みえないって どんなかんじかなあ』

『きこえないって どんなかんじかなあ』

 

一生懸命ともだちのことを考えようとしています

245-02

 

 

さいごには

……そうだったのか…

と思わせられたお話でした

 

 

なにもすることがない

なにもしてあげられない

という場面に出会うことがあります

 

だけど

出発点は

「どんなかんじかなあ」

って

考えてみることも

いいのではないでしょうか