先日医学部の学生と話す機会がありました
彼はまだ低学年ですが、しっかりとした意見をもっていることに感心しました
「電子カルテの画面ばかりを見て、患者の顔を最後まで見なかった医師がいると聞いた」
「検査の結果にとらわれて、診察がないがしろにされていることがあるという話も聞いた」
など問題意識はいっぱいです
私にとっても耳の痛い話でした
自分がその場面に遭遇したのか聞くと
「家族がそのような経験をして、おまえはそんな医者にはなるんじゃないよと言われた」のこと
そこから話がはずみました
私も一つ経験をしゃべりました
高血圧で定期的に通院中の患者さん
ある日腰が痛いと訴えられました
――年もとっているので腰椎の変形かな
整形外科は今日は診察があったかな
などと思いを巡らしながら胸、背中と聴診していきます
お腹も異常は見られません
念のためと思い腰を見せてもらったところ……
みごとな帯状疱疹でした!
全身をしっかりと診ないといけないね、と医学生と意見が合いました
彼は様々な方面に興味をもち、積極的に自ら出かけていくタイプのようです
この間は何人かの医学生たちとディスカッションをする集まりのリーダーをしていました
テーマは“スピリチュアルペイン”
緩和ケア病棟に入院されている患者さんとの面談も経験し、そこから多くのことを学んだようです
「とても難しいですね」
――医学生に簡単にわかるのならこちらの立場はないよ
と心で思いながらも
「そうだね」と相槌
将来の緩和ケアを担ってくれる人材になればいいなあ、と思いながら握手をして再会を誓いました