第2回緩和ケア市民講座が開催されました!

12月14日に第2回の市民講座をハーバーランドで開催しました。

講師は関本クリニックの関本雅子先生。

寒い中にもかかわらず120人余りの方々に参加していただき、多くの人から「よかった」「勉強になりました」との声がよせられています。

関本先生、有難うございました。

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がんをめぐる日本の状況からはじまり、兵庫県の現状、ホスピス・緩和ケアの方針、在宅ターミナルケアをめぐる最近の動き、医療用麻薬にいたる様々なテーマについてわかりやすくお話いただきました。

地域の組合員にとっても職員にとっても勉強になったのではないでしょうか。

「その人が大切にしているものを、最後まで守り抜くこと」

関本先生の後輩のホスピス医で50代の若さで亡くなられた方がホスピスの仕事について話された言葉です。

先生は心に響いた言葉としてご紹介されました。

参加者みんなの心にも響いたのではないでしょうか。

私は「先生がなぜ病院のホスピスから在宅緩和ケアの道に進まれたのか、その理由を教えてください」「在宅療養が困難な事例は?」の2点を質問させていただき、丁寧に答えていただきました。

私は個人的な事情から「在宅での終末期ケア」について考えることがあり、その時に次の文章に出会いました。

◆在宅ホスピスの条件……質の高い終末期ケアの4つの条件

①本人や家族の明確な意思表示があること

②ケアを支える介護力や周りの人のサポートを引き出すこと

③十分な医学的ケア

身体的な痛み、社会的な痛み、心理的な痛み、スピリチュアルな痛みを緩和すること

④以上の3つを結び付けるケアマネジメント

(近藤克則日本福祉大学教授による)

私はこの4つに加え、⑤経済的な保障が必要と考えました。

今後緩和ケア病棟が開設され、在宅ケアとの連携がますます重要になってきます。

今回の講演に学びながら、私たちの取り組みを進めていきたいと思います。

関本先生からは、「最近本を出しました」と素敵な本をプレゼントしていただきました。

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さっそく読ませていただいています。

あらためて有難うございました。

“uproad”

事務のSです。

先日神戸市産業振興センターで開催された、第2回緩和ケア市民講座に参加しました。

今回の市民講座では、「在宅での緩和ケア」をテーマに、関本クリニック院長の関本雅子先生のご講演を聞かせていただきました。

六甲病院の緩和ケア病棟で医長をされていた先生が、在宅医になられたきっかけや、在宅での緩和ケア医療を続ける中で感じてきたこと、また兵庫県内のがん治療や在宅ホスピスの現状について、わかりやすくお話していただきました。

高齢化に伴うがん患者さんの増加に対し、全国的に緩和ケア病棟のベッド数は圧倒的に不足していることを知り、在宅医療・在宅看取りの必要性がこれからますます大きくなっていくと感じました。また日進月歩のがん医療の中で、緩和ケアについても副作用の少ない麻薬などが開発され、進歩していることを知りました。緩和ケアに関する医療や制度の中身について学ぶ、貴重な機会になりました。

関本先生がこれまで実際に出会ってきた患者さんのお話を聞いて、病棟でも在宅でも、『最期までそのひとらしく生きることを支える』ことが、緩和ケアの最も重要な課題のひとつであるということを改めて強く感じました。言葉にすると簡単ですが、がんと診断されたそのときから、最期のときまで、病気や死と向き合いながら生きる患者さんや家族の想いに寄り添って、その人らしさを支えることの難しさを感じました。とても大きな課題ですが、神戸協同病院には、多職種が一緒になって、患者さんについて考え話しあいながら、支えていくという風土があります。緩和ケア病棟開設にあたっても、そうした職員の存在が、大きな力になると思います。

私自身は事務職員としてどのようなかかわりができるかを考えました。スムーズな病棟運営を事務面で支えるだけでなく、在宅と病院の連携や、近隣医療機関との連携を密にとっていけるように、知識を深め、つながりをつよめていきたいと思います。

また事務職員という枠にとどまらず、緩和ケアチームの一員として、緩和ケアについて積極的に学び、他職種のスタッフと協力しながら患者さん・家族を支えていけるようになりたいと思いました。

まだまだ未熟な私ですが、地域に必要とされる緩和ケア病棟となるように、少しでも力を発揮していきたいと思います。

以前にお知らせした健診の動画がいよいよ完成です。

若手職員中心に作成しました。

完成度の高いものになっています。

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採血のカット

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診察の場面です

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近日中に神戸医療生活協同組合と神戸協同病院のホームページにアップします。

 

病院の待合室でも流したり、地域での医療生協の集まり(班会)でも紹介して、自主的に健診を受け、健康を守る運動に貢献していければと考えています。

 

過去のことになります。

まだ若い女性ががんになりました。

ある事情から手術を拒否されたとお聞きしました。

 

それから10年が経ち、ずいぶんと弱った状態で私たちの所に往診の依頼がありました。

訪問すると、彼女は仲のいい友人と二人で生活されており、その友人が慣れない介護をしていました。

 

食事をすることが大好きな彼女でしたが、無理をして食べると数分後に全部もどしてしまうのです。がんのために食べ物が通らなくなっていました。

そのため同年代の女性と比べておそらく半分以下の体重ではないかと思われるほど痩せています。

肌は透き通った白い色をしていました。

きっと家から出られなくなり陽にあたることもなくなったのだろうなと思われ、また貧血がかなり進んでいることもうかがわれる白さでした。

 

「はじめまして」という声もかすれがちで、一言声を出すたびに肩で息をするような具合です。

 

医療も介護もまったくうけていない状態でした。

畳に布団を敷いて寝ています。

排泄は友人がいるときには支えて何とかトイレに行きますが、無理な時にはおむつでした。

(若い女性がこんな状況になるまでよく耐えていたなあと率直に感じました)

 

ケアマネジャー(になる予定の人)と訪問看護師、そして当院の看護師、事務職員、私、患者さんご本人、友人の女性などで相談です。

「まず介護保険の申請をしましょう」

「畳に布団では体も思うように動かせない、介護する側も大変、なのでベッドを入れましょう」

「水分はなんとか飲めるようなので栄養剤(半消化体栄養剤)を試してみよう」

「訪問は週1回行います」

それぞれがまずできることを出しあいました。

 

結果として、ベッド、エアマット、ポータブルトイレ、サイドテーブル、室内用車椅子などがそろいました。

でも実現は簡単ではなかったのです。

 

介護保険は申請してから約1か月経たないといわゆる「介護度」が決まらず、すぐに利用できる制度ではないのです。

私たちは「間違いなく介護度は高いだろう。暫定で開始してもらおう」としました。

しかし福祉の担当者からは「色々と暫定で開始するのはいかがなものか?」「介護の認定結果が出るまで待てないのか」と言われました。

 

そこで私たちはそれぞれの立場から、

『今は1日1日が大切な状態である。苦痛を緩和し、(自宅で暮らしたいと言う)ご本人の意向どおりの生活のためには、暫定でもみんなが幾度も訪問し援助をしている。オムツに排泄したくないという ご本人の思いをかなえるためにベッドやポータブルトイレなどは1日でも早く入れるべき』

『ご本人の人間としての尊厳を尊重する意味でも、またご 本人や介護者の負担を少しでも軽くするためにも絶対に必要である』

と、意見を述べたり直接交渉したりして、実現させたのです。

 

訪問看護師の介助で自宅のお風呂の使用ができました。

栄養剤を飲めることで口から食べたいという思いをいくらかでも叶えることができました。

トイレには行けなくても、友人の助けでベッドの横においたポータブルトイレが使えます。

「食事」「排泄」「清潔」という介護上最低限必要なことが保障されました。

当初苦痛な表情が多かった彼女の顔に笑顔が戻ってきたのです。

 

……………

 

病気は少しずつ彼女の体力を奪います。

ホスピスへの入院を希望され、近くの施設にお願いしました。

そこで症状がいくらか落ち着いたあと、もういちど自宅に帰りたいという望みが強くなり、自分の住み慣れた部屋に帰りついた後、息を引き取りました。

 

……………

 

私たちの国はますます高齢化する社会への対応のためにという目的で、医療や介護の制度をどんどん変更してきました。

しかし制度は誰のためにあるのかということを決して忘れてはいけないでしょう。

制度が患者さんや家族を苦しめるものであってはいけないのです。

医療・介護の現場から現状と切実な要求をいっぱいぶつけていきたいと思います。

 

2014年の年末の忙しいとき、与党のかってな論理で総選挙が行われようとしています。

医療や介護が少しでもよくなる方向に頑張ってくれる議員さんたちが増えることを強く期待します。

11月に2回開設にむけた説明会に参加し、今の到達点についてお話させていただく機会がありました。

ひとつは地域での説明会で34人の方が日が暮れてからの寒い中集まっていただきました。

もうひとつは神戸協同病院の待合室で開催しました。

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緩和ケアのそもそもと厚生労働省による病棟の施設基準、そして当院で検討中の入院基準案などを話しました。

以下はそのときの資料の抜粋です。

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合わせて印象に残った患者さんのことを伝え、一緒に考えてもらいました。

 

その時に出された質問です。

『入院の費用は? 保険は効くの?』

『入院の審査はきびしいのですか?』

『緩和ケア病棟に入院中にもう一度積極的な治療を患者さんが望まれたときは?』

『病棟が一杯(満床)のときはどうするの?』

などなどです。

原因疾患に関わらず終末期患者さんであれば入院が可能という「誤解」もありました。

 

ひとつひとつに丁寧に答えていく必要を感じています。

 

いよいよ工事が始まります。

そのときには入院患者さん、通院患者さんはもとより、地域の方々にも多くのご迷惑をおかけすることになります。

いろんな場面での説明会を開きながら、地域に根差す(下町の)緩和ケア病棟づくりに努力をしていきます。