退院翌日の訪問がCさん、ご家族との初対面です

自己紹介を簡単に済ませ、Cさんの状況をたずねました

                                            

倦怠感がつよく、ときに呼吸困難があります

意識はぼんやりとしながらも、体や足の痛みを強く訴えられました

コミュニケーションはかろうじてとれる状況です

予後は「日の単位」と判断しました

今後起こりうることなどをご家族にお伝えし、次の方針を説明しました

                                          

当面の対策です

  • 在宅酸素療法の導入
  • 痛みに対してアセトアミノフェンの座薬

成書にはオピオイドの使用が書かれていますが、保険適応外のため残念            ながら使用ができません

  • 腎不全にともなう吐気があり、ナウゼリン座薬を処方
  • セデーションのことが頭をよぎりましたが呼吸状態を考えるとリスクが高く、すぐの判断は行いませんでした

Cさんはとくに疼痛の訴えがつよく、もうろうとしながらも「痛い、なんとかして!」「助けて!」と叫ばれます

ご家族は「そばで見ていることがつらくなる」「注射で楽に逝かせてあげたい気持ちです」など言われます

しだいに座薬の使用回数が増えてきました

                                                                              

このとき私が感激したことがありました

訪問看護師さんがご家族に「いつでも電話をしてください。私たちは待っています。いつでも伺います」と話されたことです

この言葉でご家族は安心されたのではないでしょうか

ご自宅で看取りを行うという意思をさらに固められ、私がたとえば再入院の希望などをたずねてもその思いは確かなものでした

看護師さんからは頻繁な連絡がきます

痛み止めの座薬が効いてきたのか、自然と意識状態が低下してきたのか少しずつ眠る時間が増えてきました

それとともにCさんからは苦痛の表情が減ってきました

                                          

ご家族は昼も夜もCさんのそばで付き添われています

                                           

刻一刻と変化していくCさんの傍らで見守るご家族

最期は家でと決意してもその心境はいかほどのものがあるのでしょうか?

私たち医療者にとって死は身近なものかもしれません

しかし知識や手立てのないご家族はどうなのでしょうか

だからこそ私たち医療者は患者さんやご家族のすべてを受け入れつつ、寄り添い続ける覚悟が求められているのではないでしょうか

                                               

                                          

そして……

退院して1週間後に旅立たれました

その日の朝には透析室の担当医、看護師さんたちがCさん宅を訪れたと聞きました

                                            

                                          

ある観察研究によれば、

透析中止後は平均して7.4日でお亡くなりになり、75%の患者さんが10日以内に亡くなられるとのことです

さいごは深く眠るように、安らかに永眠されるケースがほとんどと言われています

                                         

                                          

Cさんの在宅療養の期間は長くありませんでしたが

ご家族の力

訪問看護師の力

透析室のスタッフの力

を心強く感じました

これからも「非がん」の患者さんの終末期に関わることが増えてくると思います

いっしょに悩みながらできることを積み重ねていきたいです

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