記念行事・・・その1

 

私たちの法人では今年三つの診療所がそれぞれ〇〇周年を迎え、記念の行事が行われました

私があいさつ(あるいはあいさつ文)をさせていただいた二つの診療所への文章を掲載しておきます

<その1>番町診療所 60周年

 

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―――番町診療所60年のあゆみに寄せて

番町診療所開設60周年 おめでとうございます。

長い歴史を支え発展させてこられた神戸医療生協組合員の皆様、役職員の皆様に感謝を申し上げます。また地域の皆様、本当にありがとうございます。

60年前は60年安保の取り組みを経て大きな政治的、また社会的な高まりがあったことと思います。医療においてもその影響は大きく1961年に国民皆保険が実現し日本の医療状況の転換点にありました。私たちの先輩はポリオワクチン獲得運動などに取り組む中で、医療生協の地域活動の基礎を作ってこられました。そのようなとき番町診療所は地域の要求に応えるかたちで開設されました。

私個人のことに少しふれさせていただきます。

当時の番町診療所では夜間の当直事務のアルバイトを医学部の先輩たちが担っていました。私も何度かご一緒し、政治のことや医療のことをはじめ様々な話し合いを夜が更けるまで行っていたことを懐かしく思い出します。

学生時代セツルメント運動に参加し、番町地域での子供会活動を経験しました(あまり真面目な部員ではありませんでしたが)。

活動を通じて人権問題や平和のことなど知識としてだけではなく行動に参加する中で将来医療従事者としての役割の自覚を深められたのではと思います。番町診療所でその場を提供していただけたこととても感謝しています。そしてそれがなければ民医連や医療生協への参加はなかったかもしれません。

医師としての研修を神戸協同病院から始めました。その年はちょうど番町診療所15周年の集いがあり先輩医師に誘われて参加しました。まだ右も左もわからない新人のときに組合員・地域・職員の協同の取り組みを目の当たりにしたことは大学での勉強では学ぶことのなかったカルチャーショックであり、自分もこれからこの現場に参加することになると思うと気持ちが高ぶっていたことを覚えています。

現在までの医療の変化には大きなものがありました。番町診療所もその中で鍛えられてきました。10年ごとに振り返ってみます。1973年は高齢者医療費の無料化という画期的なできごとがありました。しかしその10年後の1983年、老人保険法が実施され無料制度が廃止され医療制度の改悪が進みました。一方で診療所では1984年に「デイホスピタル」が開始され、のちの特別養護老人ホーム建設運動の足掛かりになりました。1993年には療養型病床群の創設、2003年健保法改悪(70歳未満の窓口負担が3割に)、2004年には新医師臨床研修制度が開始となり医師の確保が厳しくなりました。2013年アベノミクス始動、特定秘密保護法成立、消費税増税など医療と政治・経済がさらに密接なものとなってきました。この年に番町診療所は50周年を迎えています。

私もお祝いの文章を書かせていただきましたが、ここに若干の引用をいたします。

元所長先生の言葉です。「数々の困難は地域の人たちや神戸医療生協のみなさまをはじめ、多くの人たちに支えられてのりこえることができました」「私たちは差別のない、まともな医療をめざして努力を重ねてまいりました」(15周年記念誌から)

職員はこのなかで成長し神戸医療生協のたくさんの幹部が生まれました。

私たちはこの精神をしっかりと受け継ぎたいと思います。

60年という長い年月、とくに医師不足に悩まされてきましたが、一つの医療機関として事業と運動を継続させるためには大変な苦労や努力があったことでしょう。

あらためて皆様方にお礼を申し上げます。

そしてこれから先ますます高齢化が進む地域において、所長先生を先頭にして質の高い在宅医療に持てる力を十分に発揮されることを心から願っております。

60周年おめでとうございます

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