家族会開催にあたって開設時の病棟師長を務めてもらったN師長からのあいさつを、ご本人の了解を得てここに掲載します

師長さんのお話に涙されているご家族やスタッフがたくさんいました

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「私は緩和ケア病棟の立ち上げから師長として関らせていただきましたが、昨年の夏に師長室に異動となり、緩和ケア病棟を離れることになりました。

私事になりますが、ちょうど緩和ケア病棟の立ち上げ前に37歳のいとこを癌で亡くしました。小さなころから仲良しで、一緒に育ってきたので、その喪失感から立ち直ることもできず、すぐに涙が出て仕方がない時期がありました。

そんな時、緩和ケア病棟の師長としての異動を命じられました。

私に務まるのかすごく不安でした。

気持ちに整理がつかなくて、こんな私に緩和ケア病棟の患者さんの看護ができるのか? ご家族に寄りそうことができるのか? スタッフを引っ張ることができるのか? という想いだったのです。

そんな時、亡くなったいとこのお姉さんが私たち家族は不安でたまらない、そんな時思いを聴いてくれたり、一緒に頑張ろうと言ってくれたりする医療者の人が絶対に必要。そんな家族の力になれるように頑張ってほしい。きっと妹も天国で思ってるよと背中を押してくれました。

3月に亡くなったいとこを、3月が近づくにつれていつも以上に鮮明に思い出します。

私だけでなく、緩和ケア病棟で働くスタッフそれぞれにそのような経験があり、時には家族としての思いに立ったり、医療者としての思いに立ったりして働いているのだと思います。

 

開設時から入院された患者さん、そしてこうして今日来てくださったご家族の方にずいぶん私は救われたなあと思っています。

スタッフも同じ気持ちだと思います。

患者さんお一人おひとりとのエピソードが思い出されます。つらい症状の中でも笑顔を見せてくださったなー、一緒に美味しいものを食べたなーとか、ご家族の方が病棟に来てくださって私たちの心も癒されたなーとか。ほんとうにお一人おひとりのお顔が浮かんできます。

そしてご家族の方も大切な方が旅立たれてどれくらいの涙を流されたでしょう。

何もする気が起きずに呆然とされた日々が続いたことだと思います。

ここに足を運ぶこともつらかった方もいらっしゃるかもしれません。

 

亡くなられたご家族を振り返り、思い出を語り合う場を提供させていただいているのが家族会です。

私たちは家族会という場を持つことで、楽しかった思い出や、共に乗り越えた苦労話、ご家族の今のお気持ちを自由に語り合い、思いを分かち合える場所が提供できればと考えています。

今日はご家族同士や私たちと一緒に語り合いながら、ご家族自身の心境なども聴かせていただいて、少しでもほっとできる時間を過ごしていただけたらなあと思います。」

 

素敵なあいさつありがとうございました

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