往診をしていると思わぬことに気づかされます
2週間にいちど訪問させていただいていた高齢の女性
伺う日がきまっているのでいつもお化粧をして迎えていただいていました
ある日のこといつものように訪ねていくと…
髪の毛がぼさぼさ、きれいな唇には紅をささず…
明らかに調子が悪いことが見て取れました
病院で検査を受けていただくと、肺炎になっていました
これほどはっきりとした変化でなく、「何かいつもとちがうんだけど…」という場面がたまにあります
そのような変化はまず看護師さんが先に気づいてくれます
女性の場合にはお化粧の状態でわかっても、男性のときにはわかりにくいこともあります
ちょっとした変化に注意です
入院中の患者さん
痛みが強くなって入院してこられました
薬の効果がみられ、少し症状の改善がみられました
患者さん、ご家族と話をしました
症状は薬でよくなっていますが、病気は徐々に進んできています
よくない話だけをたくさんしてもつらい気持ちが増えるだけなので、同時にいいお話もします
「入院の前とくらべると痛みはましになっていますね。症状が軽くなってできることが見えてきたのじゃないでしょうか。してみたいことはありますか?」
患者さんはご家族と顔を見合わせて少し考えています
「少しでもいいので外に出てみたい」
「家族とランチにも行きたいな」
ご家族はそれを聞いて
「表情が明るくなったね」
「前向きになった」
患者さんは少し遠慮ぎみに言葉を続けます
「今まで治療のために半年ほど外には出ていませんでした。できれば髪結いに行きたいです」
“髪結い”!
なんと古風な
喜んで送り出しましょう
調子のいい日を選んでぜひ行ってきてください
幸いにも私たちの病院は下町のど真ん中
まわりにお店はたくさんあります
男の私には気付けなかったご要望でした
調子がいいということは間違いなく外見にも表れるものなのですね