これはご存じプチトマトです
私たちの病棟で育てられています
花言葉は“感謝”“完成美”だそうです
例えばお弁当に入っていると、それだけで完成度が高くなったと感じるのはそのためでしょうか?
今回はそんなプチトマトにまつわるお話です
Cさんは60代の女性
時々襲ってくる痛みや息苦しさと闘いながら療養をされています
Cさんの病室からベランダに出ることができ、昨年はそこでヒマワリが満開に咲き誇り、ボランティアさんが植えてくれたプチトマトは私たちの口に…
そんな話をナースがすると
「いいわねえ、私も育てようかしら」
トマトが届き、さっそく植えました
お花を育てることが大好きなCさん
トマトの成長をあたたかい眼で見守ります
――プチトマトの収穫まで生きていられるかしら…?
トマトへの水やりがCさんの日課になりました
毎日の成長が楽しく、喜びです
トマトは雨にあたるのを嫌います
上から水をかけるのはご法度です
かならず株元にやるのがコツです
少しくらい水が切れてもトマトは平気です
過酷な環境でも育つのです
Cさんはきっとそのことをご存じなのでは
――過酷な環境
わたしもその中でがんばれたら・・・
外泊中に雨が降りそうなときは
ナースに「お部屋に入れてあげてね」と頼みます
いよいよ収穫です
真っ赤なプチトマト
他の入院患者さんにもおすそ分け
「とっても甘いね」と喜ばれ
そのことがまたCさんの喜びに
こんなこともありました
ヒマワリのもとにどこからかやってきたコスモスが一輪
それに朝顔のツル(?)も…
調子が少しでもいい日には、そのまわりの雑草の草むしり
時々やってくる雀にはエサをあげたり
外泊中にヒマワリがしぼんでしまう事件がありました
――なんてこと・・・
さっそくヒマワリにも水をあげます
「来年もトマト……咲くといいわね」
入院までは命をあきらめていたけれど
「もう少し時間があるっておもえるの」
――自分はきっと来年は・・・
でも育てている花は
また咲くでしょう
Cさんからもらった愛情豊かに
これはこのお話をしてくれたナースの心の中のCさんの声です
スタッフは
「自分もトマトを植えようかな」
「お花を育てたい」
みんなCさんに勇気づけられているんです
Cさんに“感謝”です
このお話
実はしばらくの間ある事情から陽の目を見ることがありませんでした
このたびやっとブログへの掲載が叶いました
気持ちがめげそうになったとき
いつも
思い出すお話です