回診のあと

患者さんから

「先生や看護師さんたちに読んでいただきたいものがあります」と

手渡されました

303-01

「辞世」とあります

 

辞世というのは、この世に別れを告げることを言い、ヒトがこの世を去る時に読む漢詩や和歌などのことをいうそうです

 

私たち漢詩に疎い者のために

解説もつけてくださっています

303-02

胸の奥が熱くなりました

 

受け持ちの看護師さんが話をしてくれています

 

患者さんの言葉です

 

『これは心穏やかでないのではなくて、心穏やかに、自分の最期をじっと待っている。そういった決意です』

『3行目の協同(病院)の皆さんには感謝の意を表しています』

『2行目の雲は、昔の人は雲は山洞から出てきて山洞に帰るのだという、いわばロマンです。それをわたしは天に帰ろうという意味』

『これ以上のものはなく、今は死を受け入れているってこと』

と丁寧に話されたそうです

 

 

入院後に厳しい病状を説明しましたが

冷静に受け止められているように思えました

 

その後もご自分の現状を落ち着いて考えておられ

これからのこともしっかりと考えられている…

 

この姿に毎日敬意をもって接していました

 

 

これから病状が変わっていくにつれ

患者さんの心の中では

さざ波から大波へと変わっていくことが何度かあるかもしれません

 

 

そのようなとき、私たちは

いつもいっしょに歩んでいきたいと

心から願っています

303-03

 

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