私たちの病棟では開設時からプライマリーナーシングの看護方式をとっています

患者さんやご家族との信頼関係を深め、きめ細やかな看護が行なえることを目指しています

 

私たち医師にとっても相談相手がはっきりとしており、助かっています

 

 

プライマリーナースの役割はたくさんありますが、患者さんがお亡くなりになったあと、四十九日にご家族にむけてお手紙を送らせていただいていることもそのひとつです

どの看護師さんの手紙も心のこもった内容で感銘を受けています

 

このたびひとりの看護師さんからのお手紙を拝見することがあり、その内容をぜひブログに載せたいとお願いをしたところ、こころよく受けていただきました

 

 

今回と次回の2回にわけて掲載いたします

なお個人が特定されないように気を配っております

文責はすべて私にありますのでご了承ください

280-01

A様のご家族の皆様へ

 

拝啓 早春の候

皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

私達は今もA様が入院されていた時の事を思い出します。

 

入院された日 大切にされている事について伺うと

「そうやな 家族が大切やな」

と仰られた事。

 

「家では銭湯に通ってたんよ。つい最近まで…」

娘様の介助で銭湯にて入浴されていた事を話して下さいました。

 

「看護師さん達の仕事は本当に大変やな」

と労って下さった優しい表情が忘れられません。

 

「○月まで生きたい」と言われるA様は

お誕生日まで生きたいというお気持ちだったのだろうと思われました。

 

お孫様と時折携帯電話にてお話をされていらっしゃるA様は

とても楽しいひと時を過ごされているご様子でした。

 

皆様が交替で付き添われ

口腔ケアをされていらっしゃる際

A様が「ありがとう」と言われ

娘様も「お母さんありがとう」と

言葉を交わされて居られるお姿に

母娘の温かい絆を感じました。

 

A様はいつも皆様が傍に居られる事で心強かったと同時に

ご自宅で皆様との団らんのひと時を過ごされているような

安堵感があったと思います。

 

息子様のお嫁様からのご助言 ご指摘に

改めて看護のあり方を振り返り

今後に生かしたいとスタッフにて話し合いました。

 

ご家族の皆様の献身的な愛情に支えられたからこそ

A様は旅立ちの時が訪れても

穏やかに 安らかに

過ごされていらっしゃったのだと思います。

 

A様の人生の旅立ちという時間を

共に過ごさせていただいた事は

私達スタッフにとって

とても大切な思い出となっております。

 

ご家族の皆様にとりましても

A様の思い出が

これからの大きな支えとなりますよう

心からお祈りしています。

 

季節の変わり目

皆様どうぞご自愛下さい。

                                敬具

 

緩和ケア病棟スタッフ一同

看護師○○

 

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