9月のさいごの日

家族会が開かれました

第二回目です

 

11のご家族に参加していただきました

病院からは医師、看護師、臨床心理士、事務職員、そしてボランティアさんたち

174-01

 

O師長さんの司会ではじまり

N副総師長さんの挨拶とY先生からのメッセージ

ご家族からの自己紹介とつづき

緩和ケア病棟の日常を紹介したスライドをみんなで鑑賞

 

その後はテーブルごとにスタッフもまじえての故人を偲ぶお話を聞かせていただきました

 

「看護師さんの顔をみるといろいろと思い出します」

「入院中はいっしょに商店街を散歩しました。今日ここにきて胸がいっぱいです」

「毎晩のように涙がでます。でもよくがんばった人でした」

「入院中はつらかったのですが、でも家族みんなが力を合わせて楽しかったです」

「『痛いといわずに逝けました』患者にとっても家族にとってもよかったです」

「買い物に行くような穏やかな顔で最期を迎えました」

などなど

涙ながらに話されるご家族

私もつい涙腺が緩みます

 

ボランティアさんのピアノ演奏ののち

私はおわりのあいさつをさせていただきました

 

若干の修正を加えてご紹介いたします

 

 

本日はご参加していただき有難うございました

多くの大切なお話を聞かせていただくことができました

 

  • この機会に緩和ケア病棟の開設への簡単な道のりをご紹介いたします

色々な事情から空いていた5階病棟をどうすれば有効に生かすことができるのか、職員・組合員が長い時間をかけて話し合ってきました

その結果緩和ケア病棟が患者さんや地域の要求にこたえる一番の道だろうということで約1年間の準備期間を経て、2年前の6月にオープンしました

 

  • 私が医師になった1970年から80年代にかけて、一般病棟での医療では大きな4つの課題がありました

これは大先輩の柏木哲夫先生からの話です

  1. 感染症にたいして抗生剤、心停止があれば心臓マッサージという一種のパターン化された医療があったこと
  2. 急性期病院の大部屋では終末期を迎えられた患者さんが取り残されていたこと
  3. 多くの職種でチームを組むということが困難であったこと
  4. 個室が少なく、ご家族のための部屋やスペースがなかったこと

などいよいよの時を迎えられた患者さんのケアにふさわしい療養環境が不十分でした

緩和ケア病棟はこれらの課題を解決するためにも必要だったのです

 

  • ご家族の皆さん方はそれぞれたくさんの感情をお持ちだと思います

つらかったこと、うれしかったこと、様々にあったでしょうし、現在も続いている方もいらっしゃることでしょう

今みなさん方が感じられている感情はごく自然なものだと思います

たとえば、

「大切な人が夢にあらわれた」と話されたご家族がいました

「誰もいない家に帰って、しぜんとただいまと声をかけてしまうんです」

「これまで使っていた日常品―歯ブラシや靴、洋服などをそのままにしています」

「体の半分をもっていかれたような気持ちです」

「いっしょに行った所を再度訪ねてまわりました」

など様々なことを経験されていることでしょう

私も大切な人を見送った経験から言えることです

でもこれは決しておかしなことでなく、どなたにも訪れることなのです

この経験や感情を大事にしてください

 

細川宏先生という東大教授をつとめられ44歳で癌のために亡くなられた方が詩集を出されています

その中の一部をご紹介します

“時の力”という題です

 

「この世の中に

神というものが存在するのかしないのか

それは僕にもよく分からない

ただ言えることはね 君

神のような力をもったものはたしかに存在する

それは時さ

時の経過の持つ神秘な力さ

耐えがたい苦悩と悲痛も

時の経過だけがそれを和らげ

癒してくれるのだ

よきにしろ

あしきにしろ

一応の決着をつけ

不思議な追憶の美化作用で粧ってくれるのだ

時の経過のもつ神秘な治癒の力

その力を信じて

暫しこの身を病苦の跳りょうに委ねることにしよう」

(「詩集 病者・花」細川宏遺稿詩集より)

 

  • 今回家族会に参加していただいた方々からお話をきかせていただき、私たちもこれからのケアへの励みになりますし、勇気づけられる思いです

またよろしければ病棟にお顔をみせていただければうれしいです

今日はほんとうにありがとうございました

 

 

 

 

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