今までたくさんのチーム医療のかたちを経験してきました

たとえば

・急性期医療では(当時循環器内科を志していました)、患者さんの命を救うために看護師さんや検査技師さん・放射線技師さんたちとチームを組みました

・診療所ではすべての職員だけでなく、地域の方々の力を借りることがたくさんありました

一人暮らしの高齢患者さんのフォローなどです

その後、

・在宅医療では訪問看護師さん、ケアマネジャーさん、介護職のみなさん、そしてご家族とチームを組み安心できる生活のお手伝いに取り組みました

・病院のリハビリ分野では看護師さん、PT/OT/STさんや医療ソーシャルワーカー(MSW)さんたちと熱心なカンファレンスや家庭訪問を行ってきました

 

 

私がそもそもチーム医療の大切さを実感したできごとがあります

 

元号が昭和と呼ばれていたころです

研修医2年目を中小の地域病院で送っていました

 

40歳代の患者さんが入院してこられ主治医となりました

病名は急性骨髄性白血病

当時この病院では初めての血液悪性腫瘍の受け入れだったと思います

 

指導医の行動は素早いものでした

 

呼びかけ一つでチームが招集されました

医師は主治医の私と指導医

病棟看護師

薬剤師

栄養士+調理師

医療事務

のチームが作られました

 

普通であれば専門病院に任せるのですが

患者さんとご家族のつよい希望があり

この病院で治療を開始することが決まったのです

 

まず市内で最も中心的に診ている専門医に相談をすることから始めました

快く相談に乗っていただくことができ一安心です

血液検査や骨髄所見、治療薬のアドバイスを頻繁にいただきました

何度か病院に通ったり、時には電話で相談をし、助けていただきました

 

チームとしては定期的(週1~2回程度)に話し合いを持ち、それぞれが自分の役割を果たす努力を行いました

 

 

化学療法が進むにつれて食欲が低下し吐き気に悩まされます

栄養科のメンバーは患者さんの好みに合わせた食事を準備しました

白血球が減り熱が出現

専門医からは新しい抗菌薬を紹介してもらいました

薬局は今まで使ったことのない薬剤の作用や副作用、使用方法などを調べてアドバイスしてくれます

医療事務は自己負担が多くなることへの対策を考えてくれました

忘れてならないのは

「無菌室」を急遽作ったことです

看護師さんたちは慣れない中での感染予防をしながら患者さんのケアにあたりました

その姿をみて私も励まされます

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当然いちばん頑張ったのは患者さん、そしてご家族

ついに寛解までこぎつけました

 

この時の経験が私のイメージするチーム医療の原型となっています

 

そして今

私たちのチームは緩和ケア病棟にあります

 

開設時の「3つのコンセプト」で述べました

 

“神戸協同病院が出発時から追求してきた「医療・看護の継続性」「切れ目のない医療・看護」のなかに緩和ケアをきちんと位置付けることでその 役割が一層明確になります。緩和ケア病棟はそこでの実践、技術、マインドなどが 他の分野に生かされるよう、センターとしての役割を果たすことになります。”

 

さらには「7つの指針(案)」でも直接の言及はありませんがチームでの取り組みの重要性を強調してきたつもりです

 

“頻繁なカンファレンス(話し合い)で患者様・ご家族様の揺れ動く気持ちを受け止められるよう意思統一を行っています

「できることはきっとあるはず」のこころで…”

 

毎日のカンファレンスにはじまり

患者さんの変化に応じたこまめな話し合いや鎮静のカンファレンス

途切れていますがデスカンファレンス

週1回はリハビリスタッフの参加があり症状の緩和に一役買ってくれています

必要に応じて薬剤師さんの参加があり薬の選択など助けられています

ご自宅への退院や転院、経済的な困難の解決をめぐってはMSWさんの力が大いに発揮されています

歯科衛生士さんのラウンドや歯科医師の往診もあります

 

退院が決まれば関係者が集まっての退院前カンファレンス

そして生活などの課題を抱えている患者さんの場合にはご自宅への訪問を行い安心して療養できる準備を行っています

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まだ発展途上ですが

これからも私たちならではのチーム医療を追求していきます