10月1日神戸市内のホテルで今年の生協強化月間のスタート集会が500人あまりの参加で開催されました

広い会場いっぱいの参加者

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I専務理事からの今の社会情勢や今年の月間の特徴についてのあいさつのあと、今回のメインイベントである福岡の「みらいクリニック」院長の今井一彰先生のご講演がありました

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「鼻呼吸を日本に広げよう」との呼びかけに始まり、「あいうべ体操」の紹介とその効果など、ユーモアをふんだんに交えながらのお話に1時間半みんな引き込まれていました

 

(参考)

あいうべ体操”とは……>宣伝をします

 

「あいうべ体操は、口呼吸を鼻呼吸に改善していく口の体操のこと」です

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先生の本を手に入れて少し勉強を始めているところです

病棟でもなにか取り入れることができるでしょうか?

講演のあと質問タイムとなりましたが、次々と質問が出され途切れることがありません

私の率直な感想です

・みなさん健康への関心はどの時代でも大きいものがあります

・体のことでの悩みが様々にあることの反映が、質問や疑問となって表れているのでしょう

・普段医療機関で聞いてもらえないことがきっとあるのでしょう

・子ども連れの若いお母さんたちの姿がこれまでになく目立ちました

・先生のファン(追っかけ?)も来られていたようです

さいごの締めくくりとして、I組織委員長から今年の強化月間の特徴と目標についての提案があり、みんなで心をひとつにした集まりとなりました

 

 

9月のさいごの日

家族会が開かれました

第二回目です

 

11のご家族に参加していただきました

病院からは医師、看護師、臨床心理士、事務職員、そしてボランティアさんたち

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O師長さんの司会ではじまり

N副総師長さんの挨拶とY先生からのメッセージ

ご家族からの自己紹介とつづき

緩和ケア病棟の日常を紹介したスライドをみんなで鑑賞

 

その後はテーブルごとにスタッフもまじえての故人を偲ぶお話を聞かせていただきました

 

「看護師さんの顔をみるといろいろと思い出します」

「入院中はいっしょに商店街を散歩しました。今日ここにきて胸がいっぱいです」

「毎晩のように涙がでます。でもよくがんばった人でした」

「入院中はつらかったのですが、でも家族みんなが力を合わせて楽しかったです」

「『痛いといわずに逝けました』患者にとっても家族にとってもよかったです」

「買い物に行くような穏やかな顔で最期を迎えました」

などなど

涙ながらに話されるご家族

私もつい涙腺が緩みます

 

ボランティアさんのピアノ演奏ののち

私はおわりのあいさつをさせていただきました

 

若干の修正を加えてご紹介いたします

 

 

本日はご参加していただき有難うございました

多くの大切なお話を聞かせていただくことができました

 

  • この機会に緩和ケア病棟の開設への簡単な道のりをご紹介いたします

色々な事情から空いていた5階病棟をどうすれば有効に生かすことができるのか、職員・組合員が長い時間をかけて話し合ってきました

その結果緩和ケア病棟が患者さんや地域の要求にこたえる一番の道だろうということで約1年間の準備期間を経て、2年前の6月にオープンしました

 

  • 私が医師になった1970年から80年代にかけて、一般病棟での医療では大きな4つの課題がありました

これは大先輩の柏木哲夫先生からの話です

  1. 感染症にたいして抗生剤、心停止があれば心臓マッサージという一種のパターン化された医療があったこと
  2. 急性期病院の大部屋では終末期を迎えられた患者さんが取り残されていたこと
  3. 多くの職種でチームを組むということが困難であったこと
  4. 個室が少なく、ご家族のための部屋やスペースがなかったこと

などいよいよの時を迎えられた患者さんのケアにふさわしい療養環境が不十分でした

緩和ケア病棟はこれらの課題を解決するためにも必要だったのです

 

  • ご家族の皆さん方はそれぞれたくさんの感情をお持ちだと思います

つらかったこと、うれしかったこと、様々にあったでしょうし、現在も続いている方もいらっしゃることでしょう

今みなさん方が感じられている感情はごく自然なものだと思います

たとえば、

「大切な人が夢にあらわれた」と話されたご家族がいました

「誰もいない家に帰って、しぜんとただいまと声をかけてしまうんです」

「これまで使っていた日常品―歯ブラシや靴、洋服などをそのままにしています」

「体の半分をもっていかれたような気持ちです」

「いっしょに行った所を再度訪ねてまわりました」

など様々なことを経験されていることでしょう

私も大切な人を見送った経験から言えることです

でもこれは決しておかしなことでなく、どなたにも訪れることなのです

この経験や感情を大事にしてください

 

細川宏先生という東大教授をつとめられ44歳で癌のために亡くなられた方が詩集を出されています

その中の一部をご紹介します

“時の力”という題です

 

「この世の中に

神というものが存在するのかしないのか

それは僕にもよく分からない

ただ言えることはね 君

神のような力をもったものはたしかに存在する

それは時さ

時の経過の持つ神秘な力さ

耐えがたい苦悩と悲痛も

時の経過だけがそれを和らげ

癒してくれるのだ

よきにしろ

あしきにしろ

一応の決着をつけ

不思議な追憶の美化作用で粧ってくれるのだ

時の経過のもつ神秘な治癒の力

その力を信じて

暫しこの身を病苦の跳りょうに委ねることにしよう」

(「詩集 病者・花」細川宏遺稿詩集より)

 

  • 今回家族会に参加していただいた方々からお話をきかせていただき、私たちもこれからのケアへの励みになりますし、勇気づけられる思いです

またよろしければ病棟にお顔をみせていただければうれしいです

今日はほんとうにありがとうございました

 

 

 

 

たまたま知りました

兵庫県の灘中学校校長の和田孫博先生が「謂れのない圧力の中で」という文章を書かれています

 

中学校での歴史教科書選定をめぐって、様々な圧力があったとの内容で、先生の書かれた文章を読んで大いに感動しました!

 

ここにあげておきます

http://toi.oups.ac.jp/16-2wada.pdf

 

その中で紹介されている、保坂正康氏の「昭和史のかたち」(岩波新書)をさっそく買って読み始めています

 

 

あたかも世の中は解散、総選挙のニュースであふれています

「当選するためにはなりふり構わない(国民不在)」「自分たちにとって有利となる策略」……

過去に似たような騒動(Hさんとかもう一人のHさんなど)がなんどかあったように思います

 

 

そのような状況にあるときに上記の文章を読ませていただき、真の正しさはどこにあるのかと考えさせられました

 

 

大義のある選挙とは思えない人が多いと思いますが、10月22日には間違った選択だけはしないようにしたいものです

 

 

8月のブログでKさんからの寄稿文を掲載させていただきました

じつはそのあとすぐに追伸をいただいております

私の中で温めていましたが、1か月あまり経ちここに載せたいと思います

 

《書き忘れた事があります。

心と接する時に、マニュアルはないと感じています。

1人1人、社会的に生きた環境も血縁関係もそれぞれです。

でもあるとすれば、「生きたい!」の一言ではと思うんです。

緩和ケア病棟の患者さんだけではなく、すべての患者さんに共通の思い。

生きたい!その一言に尽きると思います。

勿論、痛みをやわらげてとか、笑って生きたいとか条件はそれぞれあるのですが。

世界中の人々の命への渇望だと思います。

最期まで、いいえ、最期になったその時でさえ心の片隅には、「生きたい!」と望む思いを根本にして外さない事を頭から離さない大切さを

感じています》

 

同じころに考えていたことがありました

それは

食事がとれなくなり弱られてきた患者さんを見守るご家族として、『私はこのまま何もしてあげられないのだろうか』『せめて水分だけでも飲ませてあげたい』『食べ物を口に入れると咳き込むことはわかるんだけれど、食べないとますます弱っていくんじゃないだろうか』『点滴をしてほしいけど効果がないと言われた』など表現は様々であっても、大事な人がこのまま弱っていくことに耐えられない感情を持たれる方がほとんどではないだろうかと思うのです

がんばってほしい、少しでも長生きしてほしいと望まれること、それはKさんが述べられた「生きたい!」ということと同義だとも感じています

 

でも現実は患者さんやご家族のささやかな希望にたいしてつらいことの方が多いのです

 

私たちはケアに際して、「可能であれば少しでも望みどおりに食べていただきたい、飲ませてあげたい」と考える一方、窒息のリスクも意識せざるをえません

時にはご家族の強い思いとぶつかることも経験します

 

私はそのようなとき医師としての無力感に襲われます

 

最近次のような論文に出会いました

 

“遺族からみた水分・栄養摂取が低下した患者に対する望ましいケア”(山岸暁美、森田達也)です

サマリーから引用いたします

「70%の家族が患者の栄養摂取低下時に気持ちのつらさを感じ、60%がその際に受けたケアに改善の必要性があると評価した。気持ちのつらさとケアの改善の必要性に関する要因として、家族の無力感と自責感、脱水状態で死を迎えることはとても苦しいという認識、家族の気持ちや心配を十分に傾聴されない経験、患者の苦痛の不十分な緩和が同定された。したがって、終末期がん患者の家族に対する望ましいケアとして、①「何もしてあげられない」という無力感と自責感をやわらげること、②終末期の輸液に関する適切な情報を提供すること、③心配ごとを傾聴し、精神的支援を行うこと、④患者の症状を緩和することが、示唆された」

 

現場では看護師さんたちを中心に上に書かれた点に心を配りながらケアにあたっています

「ここにきてよかったね(あるご家族の言葉です)」と思っていただけるように……

 

その努力には主治医として頭が下がる思いです

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私たちの法人では2か月にいちど「三つの輪」という機関誌を発行しています

このたび3回シリーズで緩和ケア病棟の紹介をしていただけることになりました

その第1回目はボランティアさんの紹介です

3人の方の取り組みが掲載されていますので、ここに引用して紹介をしたいと思います

 

☆Kさん

『本格的な一眼レフで、最高の瞬間を写真に残してくださいます。患者様やご家族の方もとてもよろこんでくださり、お部屋に飾っています』

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☆Yさん

『一緒に歌って、一緒に演奏して、元気になる。受け身ではなく、患者様自身が何かを発信することの大切さを感じながら、活動をしています』

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☆Yさん

『華やかな衣装をまとい、心地よい音楽にのせて、フラダンスを披露してくださり、患者様やご家族の方も見入っておられました』

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季節ごとの催しにもたくさんのボランティアさんたちが参加してくださっています

入院生活に日常を届けてくれる存在です

 

ところで耳にした話なのですが、

「三つの輪」の記事を読まれた方から電話があったそうです

その内容は

「ボランティアさんの1日の活動を読ませていただき、このような病院があることに驚きました。私も入院できますか?」

よくお話を聞くと、この方は入院の対象となるご病気ではないことがわかり、そのことを説明するととても残念がっていたということです

でも「知り合いの患者さんにも勧めます」と言われたそうです

 

このようにして私たちの取り組みが広がっていけばいいですね