「センセイ、今日は鬼の役ですよ。大丈夫ですか?」

いきなり声をかけられました

 

…そうか

きょうは節分か

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看護師さんたちが準備した鬼の面をかぶり

バットでつくった「金棒」をもって

患者さんのもとへ

 

まめ(落花生です)を力いっぱい投げる人…力強いなあ…

かわいそうでとても投げられませんと握ったままのひと…やさしいなあ…

 

患者さんの反応もさまざまです

でもみんな笑顔で迎えてくれました

「これで福がやってくるね!」

と喜ばれます

 

…きょうは節分だった

 

思い立ち電車に乗りました

1時間半かけて

着いた先は春日大社

世界遺産です

 

少し前に本で読んだことがありました

節分の日に『万燈籠』という行事があること

いちど行きたいと思ってました

 

奈良はとても寒いです

(日本中が寒いのですが)

思わずタクシーに乗って

 

近づくにつれて幻想的な夜景が

「この灯を見るとほっとするんです」

と運転手さん

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道は真っ暗

人がいっぱい

風はつめたく

ときに小雨が

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雰囲気は最高です

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私の腕では撮影はここまでです

ホームページからも引用します

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http://www.kasugataisha.or.jp/

 

当社の燈籠は石燈籠約2000基、釣燈籠約1000基の合計約3000基あります。中でも全国で2番目に古い石灯籠といわれている伝関白藤原忠通奉納の「柚木燈籠」(1136年)や藤原頼通の寄進と伝わる「瑠璃燈籠」(1038年)をはじめ、平安末期より今日に至るまで、その大半は春日の神を崇敬する人々から、家内安全、商売繁盛、武運長久、先祖の冥福向上等の願いをこめて寄進されたもので、特に室町末期から江戸時代にかけては一般庶民や春日講中からのものが多いです。(引用は上記)

 

 

インフルエンザからの病み上がりでしたが

無理をしながら行ったかいがありました

 

 

「柿の葉寿司」をお土産に買いました

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帰る途中に呼び出しがあり

ひと仕事を終えて自宅にたどり着きました

 

私の医師としての出発点は循環器領域からでした

心筋梗塞や急性心不全など救急疾患の勉強に時間を費やし

そのための研修にも出かけました

その後高血圧や慢性心不全などいわゆる慢性疾患にも関心があり

患者会にもかかわらせていただくことができたのが

20歳代のときでした

しだいに病棟を任されるようになり

救急救命だけでなく

あらゆる手を尽くしても改善しない

心不全の患者さんを受け持つことが

多くなりました

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入院してよくなられても

しばらくするとふたたび悪化

入退院を繰り返されます

そして安静にしているだけでも

呼吸困難がよくならない

そんなつらい状態でも

がんばられている患者さんたちに

出逢いました

…なんとかならないものだろうか?

ずっと心に残っていました

 

病院での役割りが徐々にかわり

診療所や

リハビリや

在宅医療に

たずさわることが増えました

それでも心不全の患者さんたちのことを思い出します

そんな矢先

学会で「循環器医療」と「緩和医療」の連携がテーマになっていました

 

そしてこのたび

「非がんの緩和ケア」の研修会があり

「難治性」心不全の勉強をする機会に恵まれました

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上図のステージDの患者さんがとくに対象となりそうです

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今勉強している「緩和ケア」の知識が少しでも役にたてば…

 

循環器疾患担当の先生とも話をしました

 

心不全の専門治療をしながら緩和ケア

これまでになく難しいことが要求されそうです

 

でも

ずっと気になっていたことです

今後連携しながら

少しでも患者さんの苦痛を和らげることができればと

思っています

 

 

 

年明け早々にインフルエンザに感染してしまいました

今年はB型も多いという話です

いつもの風邪と思い、睡眠時間を十分にとるようにしたのですが

なかなかよくならず

日に日に咳、鼻水、筋肉痛がつよくなり

時々寒気が襲ってきます

耐え切れず検査をしてもらうと“陽性”に!

そういえば感染がわかる前日の記憶は

ほとんど残っていませんでした

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今期のインフルエンザは例年よりも早いペースで流行しているようです

(参考に)

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(出典:インフルエンザ過去10年との比較グラフ-国立感染症研究所
※水色線に水色の丸が2017年、赤い線に赤丸が2018年

結果として1週間近く休むことになり、患者さんや職場の皆さんに大いに迷惑をかけることになってしまいました

あらためて気づいたことがあります

●二日酔い+睡眠不足+一日中寒い中での往診というリスクが重なりました

前者のふたつは自己責任です

●友人たちからの差し入れがとてもありがたかったこと

支えのあることのありがたさが身に染みました

●先生方には本来私がしなければならない業務をしっかりとカバーしていただき助かりました

まったくの予想外の出来事でしたが、自己責任の部分も多く、気を引き締めていきたいと思います

 

 

まず以下の有名な図から

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http://homecare.umin.jp/index.html より引用

 

緩和ケア病棟での医師の関心の中心は「身体面での苦痛」や「精神面での苦痛」に、それも薬物治療に偏ってしまいがちです

 

しかし多くの患者さんやご家族と面談を行うなかで、癌と診断されてから今までつらさに向き合い、考えられるかぎりの努力を繰り返し、ときには「これ以上治療を続けることは難しくなりました」と突然告げられて私たちの前に来られたんだということを知らされてきました

 

「痛みだけはないようにしてください」

「できる限り自分のことは自分でしたいと思います」

「私は覚悟ができていますが、家族のことを思うと…」

 

ほとんどの方が話されます

 

お見送りをしたあと

「ほんとうにこれでよかったのだろうか」

「十分なケアができたのだろうか」

と絶えず振り返っていましたが

このたび看護師さんたちの努力で

“デスカンファレンス”

をはじめることになりました

 

みんなでお一人おひとりの顔やしぐさ、言葉を思い出しながら

話し合っています

 

入院中はどうしても

身体的な苦痛

痛みや呼吸困難、食欲低下や吐き気など

に関心を向けることが多く

――当然そのことを抜きに他の苦痛に対応することは困難ですが

冷静に振り返りの時間をとることで

あらためて私たちの病院の役割に

気付かされることがありました

 

今回は「社会面での要因」に触れます

 

ある男性の患者さん

1人暮らしでした

毎日知り合いのお店に行き

友人たちとカラオケで歌ったり、食べたり、飲んだり

 

病気が見つかり

すでにかなり進行した状態でした

 

入院が必要です

しかし経済面での壁が大きく立ちふさがりました

一定の年金収入があるため生活保護の対象にはなれません

一方では医療費の負担が可能な状態でもありませんでした

 

病院の医療事務職員やMSW(医療ソーシャルワーカー)の出番です

 

相談の結果

『無料低額診療事業』の適応となりました

 

☆無料低額診療って・・・?

無料低額診療事業は、生活困難な方が経済的な理由によって、必要な医療サービスを受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療を行うもので、社会福祉法に位置づけられている事業です

それぞれの医療機関独自の努力で可能な事業なのです

 

おかげで患者さんの自己負担は免除となりました

友人たちからも喜ばれました

他方で、病院はその分の収入減ともなります

 

 

経済的な苦痛の解決は

患者さんやご家族にとっては体の不調と異なり

なかなか言い出せないことも多いです

単に相談にのるだけではないと考えています

生活保護の申請のお手伝い

国民健康保険の保険料や自己負担に困っている人へのお手伝い

そして今回のような

無料低額診療の適応

 

また創設時から私たちの病院は差額ベッド代をいただかない方針できました

 

緩和ケア病棟はすべて個室ですが、「お部屋代」はいっさいいただいておりません

このことも経済的な負担や苦痛の改善にとってはとても重要なことだと思っています

 

安心して療養できる環境づくり

それも私たちの役割です

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(図は神戸市の資料より)

 

 

以下に載せた文章は、私たちの機関誌「三つの輪」1・2月号に掲載された緩和ケア病棟でお世話になっているボランティアさんから聞かせていただいたご意見・ご感想です

実際の機関誌よりもふくらんだ内容になっております

文責はすべて私にありますのでご理解ください

 

緩和ケア病棟開設時から、ボランティアさんの協力は大きな力になっています。今回は3人のボランティアさんに取材をおこない、ボランティアさんから見た緩和ケア病棟の紹介や気付きをおうかがいしました。

 

―ボランティアに参加したきっかけを教えてください―

「2010年に医療生協に入り、運営委員や理事をさせて頂くことで事業所との関わりが強くなりました。緩和ケア病棟開設に伴い、ボランティアを募集していることを知り、『自分にできることがあれば』と思い、参加しました。」

「緩和ケア病棟建設運動に関わる中で、自分にできることを探してみました。」

「『緩和ケア病棟が新設されるので、ボランティアの勉強会に参加してほしい』と誘われ、長い間看護の仕事に携わっていたこともあって参加しました。」

 

―緩和ケア病棟のボランティアをおこなって、嬉しかったこと―

「ボランティアの養成講座を受けて多くの知識を得られたこと、他の人たちとの新しい交流が生まれたことが良かったです。また、自分の生活や生き方を顧みる良い機会となり、良い経験をさせていただいています。ティータイムの声かけに喜んで頂くと嬉しいです。ワークショップでも楽しんでいらっしゃる姿を見るのは、嬉しいことです。」

「ティーサービスなど、患者さまやご家族さまに『ありがとう』と言ってもらえると嬉しいです。」

「ティータイムで『お茶、コーヒー、紅茶はいかがですか?』と聞くと、こころよく飲みたいものを言って頂き、飲み終わると『とてもおいしかったです』と言われて嬉しくなります。手作りのおやつも『良かった』と言われると、私たちの方が元気づけられます。」

 

―緩和ケア病棟のボランティアに大切だと思うこと―

「私たちの行為や声かけは、決して押し付けることなく、患者さんや家族の思いに添ったサービスをすることだと思います。」

「患者さんの病状がいろいろあり、どう接したら良いかと心が悩む時もありました。一緒に参加する仲間と仲良くなり、共有することが大切だと思います。」

「患者さまに気遣いされないように、何事も自然体でさりげなく、笑顔で接することができればと心がけています。」

 

―ボランティアさんから見た、神戸協同病院の緩和ケア病棟の良いところ―

「全室個室で広く、窓から屋上の花々が見られたり、廊下には職員の紹介写真があったり、季節の飾りもあるなど、とても穏やかなところです。おやつの時間があるのも良いと思いました。家族さんも病室でゆっくり過ごせ、家族だけでお茶を飲むスペースもあり、私もつい人に宣伝してしまいます。」

「入院されている患者さんが皆さん落ち着いて、ゆったり過ごされているところです。面会に来られる方々も、患者さまと思い思いにゆっくり過ごされている様子で、良いなと思います。病棟のスタッフ皆さんが、笑顔で落ち着いた雰囲気でお仕事されているところも良いです。臨床心理士が配置されているのも、患者さまや家族はもちろん、病棟スタッフにとっても心のケアに必要なので良いと思います。」

「看護師さんと患者さまがフレンドリーな関係を感じるとき、微笑ましく思います。」

 

―緩和ケア病棟のボランティアとしての悩み―

「ただ単にティータイムばかりの少ない時間で、『こんな事ばかりで良いのだろうか』と思います。心の介助なんて先の先で、私たちももっと勉強するべきかなと思います。」

「ボランティアスタッフが少ないことです。週に1度の予定が、他の用事で行けないことがあり、他のボランティアスタッフに負担をかけることもあります。定期的に、安定したサービスができたらと思っています。」

 

―今後、緩和ケア病棟に望むこと―

「患者さんの中には、気持ちが落ち込んでいる方もおられます。お話したり、絵手紙を書いたり…毎日少しの時間でも良いので、みんなが集まれたらいいなと思います。」

「病棟が静かなところは良いのですが、談話室のような場所だけでも音楽が流せたら良いなと思います。」

 

他に、ボランティア同士の交流やボランティアスタッフの増員に対する願いをおうかがいしました。できることから、改善していきたいと思っております。

最後に、ボランティアが終わって帰途につく時、穏やかな空気間の中で癒されているのを感じられるそうです。みなさん、やりがいを持って頑張っていただいています。

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