今回は「嘔気嘔吐の治療薬」と「食欲不振の治療薬」について学習しました。
話が盛り上がったのは中枢性制吐剤の副作用としての錐体外路症状のこと。日常的に吐き気止めとして処方されている薬でパーキンソン症状を経験することは少なくありません。知っているか知っていないかで大きな違いが現われます。
つぎに話題となったのは、食欲低下時のステロイドの役割に関してでした。
ここで私の経験を少し…
――以前にある病気で入院しました。39度をこえる高熱が続き体も衰弱していました。検査ではほとんど異常はなく、最終的にある疾患を疑い治療を開始しました。その時の薬がステロイドでした。
プレドニゾロン50mgでスタート、翌日には嘘のように熱がさがりました。数日するとまず無性に空腹感を覚え、日中に買っておいたおにぎりを消灯時間が過ぎてからベッドの上で食べるようなことがありました。あるとき巡視の看護師さんに見つかりましたが、そのとき彼女はニコッと笑ってうなずくだけでした。つぎに夜寝つきが悪くなり、そのときには安静にしているからだと思っていましたが、のちにステロイドによる不眠の影響もあるのだと知りました。ステロイドはゆっくりと減量され、食欲の異常な亢進状態はなくなりましたが、こんどは仕事を休んでいることへの罪悪感と「早く現場に復帰したい。元気になった今なら何でもできる」というような気分の高揚感が訪れました。
これらのことはおそらくステロイドによる作用だと考えられます。
――貴重な体験ができたと思っています。
このようなことを若い薬剤師さんたちに話ました。
医療従事者がみんな病気を経験しなさいと言うつもりは毛頭ありませんが、突然の病気にみまわれた人の苦痛や不安感、希望などについて少しでも考える機会にはなったと思っています。