病院に貼り紙があります
新型コロナウイルス感染対策のため、入院患者さんの面会に制限が長期間設けられており、そこにはご家族およびキーパーソンの方に限り面会が可能(時間の制約はありますが)と記されています
ところで私たちはこの「キーパーソン」という言葉をよく使っていますが、患者さんやご家族にとってわかりづらいときがあるようです
さっそく調べてみました
☞キーパーソンとは患者さんに関係する人たちの中で、意思決定や問題解決の要となる人のことで、主には家族、親族、後見人がその役割を果たされています
患者さんとの信頼関係があり、状況の把握がされ、判断や助言ができることが求められています
病院からの病状や治療方針の説明を受け
家族間の意思や要望を取りまとめ病院に伝え
患者さんの意思はまず尊重されることが前提ですが、意思決定ができない場面では患者さんに代わる役割が求められることがある
というように、重要な立場にあります
最近のいくつかの出来事です
☆ご家族がおられない患者さんの転院相談がありました
通常は患者さんやご家族に来ていただき面談を行ってから「登録」あるいは「ベッド調整」とするのですが、このときは患者さんは寝たきりで来院できない状態でした
⇒やむを得ず一般病棟にまず入院していただき、その後「面談」としました
☆つぎのような例もあります
ご家族は中学生の息子さんお一人
患者さんはベッド上での生活でした
⇒入院先の病院まで出向いて「面談」を行いました
☆入院中の患者さんの場合
一人暮らしでごきょうだいは何人かいるのですが、みなさん高齢で遠くにお住まいでした
⇒退院に向けての相談が必要となりました
どなたがキーパーソンになっていただけるのか決まるまで時間がかかり
ごきょうだいの中でも
この分野は私が、この点はあなたが…など
混乱してしまいました
―――『カリフォルニアから来た娘症候群』
という表現があります
病気の患者さんの終末期に故郷を長く離れていたご家族が突然現れ、これまで近隣の家族と医師が時間をかけて話し合い決定した方針に異論を唱えられたりする「事象」のことだそうです
カリフォルニアや娘は比喩であり、唐突に来られた遠方からのご家族という意味です
1991年にアメリカで報告されたとの記載がありました
初めて聞いた時、違和感を覚えました
「なんと失礼な」と思ってしまいます
でも、そのような事例があることは身近でも聞いたことがあります
医療従事者であれば多少なりとも似たような経験はあることでしょう
ご家族にとっては近い・遠いはあっても大切な身内です
どのような意見も頭から否定してしまうことはよくないと思っています
面談をしていて心穏やかではないこともありますが
時間をかけて話をしていくこと
みんなが納得するということは
難しいことかもしれませんが
それでもその努力は必要だと思います
〇〇症候群は、決して悪意のもとでの表現ではないと信じていますが……
キーパーソンをきめること
その役割はとても大事なものであることを私たちが十分に認識すること
が求められています