私は、昨年の4月から緩和ケア病棟のリハビリを担当しています。

たくさんの患者様との関わりの中でとても印象に残っていることがありました。

ある患者様は、病状悪くほとんど寝たきりの状態のため、疼痛緩和と拘縮予防のリハビリ依頼を受けました。当初は人見知りな性格もあり、ご自分の思いはほとんど話してくれませんでした。どうにか思いを引き出したいと思い、私は毎日様子を見に行き話をしました。また面会に来ていたご家族様ともお話するよう心懸けていました。その中で、折り紙や切り絵などを昔していたと聞き、一緒に作業する機会を作りました。

そこから、話をしてくれるようになり、笑顔もみられるようになりました。また、「今日はリハビリないの?」「あの子いつ来るんかな?」など作業活動をきっかけに日々のリハビリを楽しみにしてくださるようになり、意欲的にリハビリに取り組まれていました。

リハビリをする中で、退院したい思いが強いことを知りましたが、さまざまな理由で困難な状態でした。せめて生まれ育った長田の町を少しでも散歩できたらと思い、車椅子散歩を提案しました。何度もチームで検討し、ご家族の協力もあって、近くの商店街をリクライニング車椅子で散歩することができました。本人も喜んでくださりましたが、ご家族様も最期まで本人の思いに寄り添っていたことをとても喜んでくださりました。

ADLは低下してもQOLが上がる場面を見て、ただリハビリをするだけでなく、人生の最後までその人らしく過ごせるにはどんなサポートができるのか考えていくことが大切だと感じました。

私は、これまでの理学療法士の枠を超えて、患者様にアプローチすることや、患者様やご家族様の気持ちに寄り添うことが、緩和ケア病棟でのリハビリにとって大切なことだと思いました。これからもこの経験を忘れず理学療法士を続けていきたいと思います。

患者さんといっしょに花壇の水やり

温かく見守りながら歩く練習

今回の文章は現在緩和ケア病棟を担当してもらっている理学療法士さんに、心に残った出来事を教えてほしいとお願いして書いてもらいました

文章は原文のままでそのまま載せています

彼は患者さん、ご家族、看護師さんたちとのコミュニケーションをしっかりととっており頼りになる存在です

私の無理な注文にも嫌がらずに応えてくれています

これからも頑張ってください!